スペインの100の郷土パンレシピ本を買って眺めること数週間、まずは表紙のパンから作ってみようかな〜と思い立って大変な目に合いました、という記録です。
土地には土地のパンがある
郷土料理全般において、その土地の得意なものではなく、「XXがないから、補うために生まれた工夫」が、時間をかけて郷土料理となる、これが素晴らしいと思うのです。
料理で言えば、例えばナバーラの川マスのオーブン焼き。厳しい環境の山村で主に南で作られるオリーブオイルや高価なバターなどは手に入らなかった時代、淡白な川魚の味わいを補うために、生ハムを挟んで焼いたのが始まり、とか。
パンも然り、ガリシア地方の高加水パンは手に入る小麦の量が少なかったから、水を多くしていったのが始まり。その貧しい歴史の中で小麦はより保水力の高いものが残り、現在ガリシアのパンは高加水ならではの外ガリガリ、中モッチモチで高い評価を得ています。
今回トライしたカスティージャ・イ・レオンの低加水パンは、上記ガリシアとは反対で、乾燥・高温となるスペイン内陸の気候に適したデュラム小麦を使用し、水の割合をなるべく少なく配合しようとしたもの。水が少ないため、生地は捏ねるのではなく、ローラーを通して伸ばし、畳み、またローラーを通して練るという方法(Refinado)で作ります。
その製法から、パリッとしたビスケットのような皮、シルキーな質感の目の細かいクラムのパンができます。スペイン語ではPan candeal(デュアル小麦のパン)や、Pan sobao(練りパン)などと呼ばれます。
カスティージャ・イ・レオン風練りパンのレシピ
本当は前日に仕込むパン種(BigaやMasa madreと呼ぶ)を入れるのですが、今回は実験的にパン種なし、ドライイーストで当日仕込んだ低加水パンの「練る」の感覚を見てみたくやってみました。
直径20cm リング型一個分
- 強力粉・・・300g
- 水・・・150cc
- 塩・・・5g
- ドライイースト・・・0.5g
材料全部を混ぜておおよそまとまったところで、綿棒で1cmの厚さに伸ばし、三つ折りにする×10回、生地が滑らかになったら丸めて5分置き、その後リング状に成形して3時間発酵。切り込みを入れ230度で30分焼く。
この、「綿棒で1cmの厚さに伸ばし、三つ折りにする×10回」がなかなかの重労働で綿棒折れるかと思いました。パスタマシーンでやると良いかも・・
次回への改善点
- 自宅の小さなオーブンでは高温すぎて表面だけ色が強く着いてしまったので、もう少し温度を下げてアルミホイルをかぶせて焼くこと
- 十分滑らかなクラムになったものの、シルキー感足りず。練りの行程をもう10回増やすこと(次こそ綿棒折れる)
- 塩が強かったので少し減らすこと
- 切れ目をもう少し深く入れること
- 成形後の発酵時に表面を乾かすこと
さらに、次回は前日発酵のパン種ありで作ってみます!
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