こんにちは!北スペインの食と観光情報、そしてスペイン語学習に夢中なEriko(@greenspainplus)です。
その土地にはその土地のスイーツがある。スペイン料理は郷土料理だ!
ということで、スペイン中に散らばる、スペインの郷土菓子探求を始めます。
いつか、訪れるその日を夢見て。
フィジョアス
本日探求するのは、ガリシア地方全体で愛される、薄力粉を水と卵を混ぜて溶き、 薄く焼いたフィジョアス。
ガリシアだけではなく、アストゥリアスでもFreixolos(フレイショロス)や地域によってフィシュエロス、フリシュエロスなどと呼ばれて広い地域で食べられています。
元はフランス・ブルターニュ地方が発祥、諸説あれど、北スペインへはサンティアゴ巡礼の道を通って、またはケルト人移住の際に伝わったと言われています。
フィジョアスの生地はAmoadoと呼び、元は炭にかけた石板で四角く薄く焼いていました。
ガリシアでは他地域よりも長い期間祝われるEntoroido(ガリシアのカルナバル)で食べられる代表的なスイーツですが、日常的にも食べられます。
フィジョアスは「ガリシアのクレープ」ではない
粉を水で溶き、鉄板で薄く焼く。それだけ聞くと「クレープじゃん」と思うかもしれないですし、見た目もつい、「クレープじゃん」なのですが、
フィジョアスはクレープとはだいぶ異なります。
祖先はおそらく一緒ですが、その後運ばれて根付いた地域の文化や習慣に合わせて、今では名前も材料も違うものになっているのです。
フランスのクレープにも敬意を表して、違う点といえば、
バターは使わない
フランスのクレープには必須の材料ですが、ガリシアのフィジョアスにはバターは使用しません。
では油脂はどうするのか、というと、フィジョアスがクレープではなくフィジョアスである一番の違いが関係してきます。
フィジョアスがクレープではなくフィジョアスである一番の違いは、
豚に関する材料が含まれていること
フィジョアスを焼く鉄板(古くは石板を使った、現在も炭と石板を使う職人もいる)には豚の脂身を塗るのが一般的で、
また、粉を溶く水分は、水だったり、豚を煮たスープだったり、豚の血液だったりします。
チョコのように見えますが、豚の血液で粉を溶いたものです。(下記)
さらに、小麦粉だけではなく、ライ麦や大麦、とうもろこし粉から作られるフィジョアスもあります。
フィジョアスは甘いだけじゃない
フィジョアスは、現在ではデザートやおやつとして作られることが多く、焼きあがった生地に砂糖をまぶしたり、ジャムや蜂蜜を添えて食べるのが一般的です。
ですが、昔まだ貧しかったガリシア地方では、多くの家でパンの代わりとして食べられていた歴史もあります。
焼きたてのパンを買うお金がなく、
家にオーブンもない、
そんなお家では、フライパンや鉄板があれば簡単に作れるフィジョアを主食として、
煮込みや肉と一緒に食べていたそうです。
フィジョアス、どこで食べる?
ガリシア地方のどこでも見つけることができるフィジョアスですが、
いくつかおすすめとして名前が上がるお店をピックアップしました。
Nave 5 Abastos(ナベ・シンコ・アバストス)
サンティアゴ・デ・コンポステラの市場内にあるフードコートのフィジョアスが美味しいとおすすめされていました。
わざわざ遠くへ足を運ばなくても、サンティアゴ・デ・コンポステーラ観光と一緒に楽しめるのがとても良いですね。
フィジョアスをベースにロブスターなど旬の食材を盛り付けた塩味フィジョアスも種類豊富。
Café Bar Rodeiro(カフェ・バル・ロデイロ)
ここは、Cocido gallego(ガリシア風コシード)と一緒にフィジョアスを出してくれる、伝統の食べ方が楽しめるタベルナ。
Rúa de San Pedro, 5, 15703 Santiago de Compostela
A Baña(ア・バニャ)
ここはレストランではなく、村の名前です。
サンティアゴ・デ・コンポステラから北西に車で30分ほどの村にも関わらず、
幹線道路からは外れているため、観光客が訪れることは稀と言われています。
この村の名物は、石板で四角く焼く原始的なフィジョアス、A Baña Filloas da Pedra(ア・バニャの石焼きフィジョアス)です。
観光や大規模なインフラから離れていることから他の地域よりも伝統を守ってきた田園地帯となり、
A Baña Filloas da Pedra 協会でもこの石焼きフィジョアスの伝統を守るため、3月のフィジョアス祭り、Festa da filloasの開催や、レシピコンテスト、レシピブック発行などを行っています。
フィジョアス祭りは毎年3月!
2019年のフェスタの様子はこちら
フェスタ行きたいです!