シードラと言えばアストゥリアスが有名ですが
(過去記事:Sidra asturiana アストゥリアスのシードラ参照)、バスク、ギプスコアのシードラもまた有名産地。(下:バスクのシードラとTxuleton(チュレトン・牛ステーキ))
Sidra asturiana アストゥリアスのシードラでも触れましたが、シードラはワインと違って品種への言及がないのが普通だったのですが・・
2011年3月はじめ、ギプスコアで単一品種でのシードラ醸造結果が発表されました。
誰が興味あるんだこの話、って私はすっごい興味あるんですが続けていいでしょうか。
まずはシードラを醸造するのに使われるバスク産りんごの品種:
- Aritza アリチャ
- Patzulua パチュルア
- Errezila エレシリャ
- Txakala チャカラ
- Gezamina ゲサミナ
- Udare marroi ウダレ マロイ
- Goikoetxe ゴイコエチェ
- Urdin ウルディン
- Manttoni マントニ
- Urtebi handi ウルテビ アンディ
- Moko モコ
- Urtebi txiki ウルテビ チキ
- Mozolua モソルア
- Verde agria ベルデ アグリア
いろいろあるもんですね。このうち赤いりんごはゴイコエチェとモコ。他は青りんごですが、それぞれが収穫時期の違いや果実の特徴を持っています。
さて去年の10月、UPV(Universidad del Pais vasco、バスク大学)の化学の先生二人が、上記品種のうち赤文字の5つの品種のりんごを使った5種類の単一品種のシードラと、うちPatzuluaパチュルア種のセレクションを1種、5種のりんごそれぞれを同量ずつ合わせた五品種のシードラの醸造1種の計7種類のシードラの醸造に着手し、3月はじめスペインでは初めての単一品種シードラが完成。
醸造関係者が集まり、7種のシードラと、2種の市販されているシードラを合わせた9種類をブラインドティスティングし、品種の持つそれぞれの味わいと、製品としての完成度を評価した結果、
上位2種は圧倒的に市販されているシードラとなり、単一品種、5品種同割セパージュには厳しい評価がつきました。
単一品種のうちで高評価だったのはGoikoetxeゴイコエチェとPatzuluaパチュルア(セレクションではない方)、反対に一番評価が低かったのはMokoモコ。
ティスティングで「胃の中のものを吐き出すのに役に立つ」とまで言われたMokoのシードラに醸造家のドミンゴさん、「8月以降にもまた試してみたい、きっと全く別のものになっているはず」
この結果を受けて「やっぱりデンマークやモロッコなどの外国品種のシードラ用りんごが優れていることを証明しただけ」や、「このまま単一品種のシードラの研究が進むと、高価格で低品質の”地品種シードラ”が市場に出回る羽目になりそう」などの厳しい意見もあるものの、実際数日後にはバスク地品種100%シードラが発売されるというニュースが今日出たし、ライバルアストゥリアスが既にアストゥリアス地品種100%シードラでD.O.を獲得している経緯も受けて、D.O.Sagardoa(シードラのバスク語)獲得もそう遠くないんでは。
「中身出しちゃいそう」なMokoシードラをはじめとした地品種単一シードラ、試してみたいのは私だけではないはず・・・いや、私だけか。
参考記事:eldiariovasco.com La sidra de “goikoetxe”, aceptable; la de “Moko” , terrible
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