スペインを振り返る⑩ブルゴス(2013年収穫期の旅)はこちら
愛するブルゴスを出発、西に185キロ移動のレオンへ。
カスティージャ・イ・レオン県の県都であり、ステンドグラスが美しいカテドラルとタダタパ(お酒一杯につき一皿のタパスがついてくる)のメッカBarrio humedo(バリオ・ウメド)が有名な街です。
こちらを拠点とし、ビエルソ周辺のワイナリーを訪問しました。
愛するブルゴスに別れを告げ、夜のバスでレオンに到着。
ここを拠点に、ビエルソ周辺のワイナリーを訪問しました。
ずっと行きたかったビエルソ、念願叶い、畑にもお邪魔できました。
ガンセードは夫婦二人で少量ながら非常に品質の良いビエルソワインを生産するワイナリーです。
オーナーのイネスさんが受け継いだ祖先の畑で採れたぶどうは、はじめ家庭用にワインへ加工されていました。
しかし凝り性のイネスさんは、本格的にビエルソのワインを極めたい、と近隣の畑を見回り、コンディションの良い畑を少しずつ購入。
現在では65区画に分かれる合計13ヘクタールの畑で、最良のぶどう(ゴデージョ、ドーニャ・ブランカ、メンシア)を栽培しています。
これらの区画の中には80~90年の樹齢のぶどう樹も多く混在しています。ビエルソでは以前樹齢を記録する決まりがなかったため、正確な年数はわかりませんが、いくつかは100年を越していると思われる樹もあるそうです。
ビエルソは、緑が豊かで雨が多く湿度の高いガリシア地方と、乾燥し雨の少ないレオンにはさまれ両方の特性を持ち合わせる、非常に独特な気候条件を持つ地域です。
ガリシアよりは雨が少なく、レオンよりは雨が降る。極端な二つの気候条件の間に挟まれながら、それぞれの条件の恵みを享受することで比類なき味わいを生み出す小さなワイン産地です。



ビエルソのメンシア種は、土中の栄養分が多い為房が集中することが多く、ガンセードでは夏の間に半分以上の房を間引き、残る房が健康に育つよう手入れを行っています。収穫期には自然と干しぶどうになった間引き後のぶどうが株の下に見られます。これらはこのまま土にかえり、再び良いぶどうを実らせるための栄養源となります。
また、同じ理由から枝葉が大きく広がり、畑全体を覆ってしまい、畑に太陽が十分に当たらなくなるため、(すると湿度が増え病気が増える要因となる)計算されたこまめな剪定を行う必要があります。
(イネスさんの畑と道を隔ててお隣さんの畑は、土が見えないほどぼーぼーでした)
3区画ほど車を走らせてくれたイネスさん。全ての畑に強い思い入れを感じました。
うさぎの害は意外と深刻で、実を食べられるのはまだしも、幹に吹く新芽を好んで食べるのでぶどう樹にとって天敵、小さな区画はうさぎが入れないよう膝丈ほどのフェンスで囲まれていましたが・・うさぎは飛び越えて(または穴を掘って)入ってくるとのこと。
イネスさんは二匹犬を飼っていて、いつもはその子たちがウサギを追い払います。

土の湿度が高い区画には自然の雑草を生やしたままにし、ぶどうの樹には余計な水分を吸い取る役割を持たせます。
以前は自宅ガレージで家庭用ワインを醸造していたイネスさん、その当時から愛用している小さなサイズのタンクは、果汁と果皮の接触が理想的なサイズとのこと。(大きなタンクは白ワイン用)

発酵中のメンシアの赤ワインのタンクをちらり、人の鼓動と同じリズムを刻むポンプ(そのリズムが理想的とのこと)でルモンタージュ(液体を引き抜き上から戻す、果汁と果帽を接触させることで風味を引き出す)を行っていました。


イネスさんにとってのワイン作りとは畑作りであり、ワイナリーの設備は必要最低限、ここは最高のぶどうをワインに変えるだけの場所、とおっしゃっていました。
(しかしなまりの強い話し方をされる方で、翻訳にかなり戸惑いました!醸造用語もほぼ聞き取れないし、単語も違うし、今までのワイナリー見学で一番大変だったかも!)
見学を終えて、イネスさんの奥さん手作りの食事とともに、ワインを試飲。
どのワインもお料理との相性は大切ですが、ビエルソのワインはやはりビエルソの料理と合わせるべし。
ゴデージョ&ドーニャブランカとピーマンマリネ、ウサギの煮込みの組み合わせや、濃厚なシェスタル、ウセド×セシーナは、これ以上の組み合わせが考えられません。
魚介はリアスバイシャスに任せて、野菜はビエルソ白で、豚や羊はリオハ、リベラデルドゥエロに任せて、牛はビエルソ赤で。
しっかり再確認することができました。
半日のビエルソ滞在はあっという間、もっと町を歩いたり、バル・レストランへ行ったりしたかった!ので、必ず再訪します。
この日の後半はレオンへ戻りながら、ワイナリーをもう一軒訪ねました。
つづく
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