オウレンセからリベイロへ
2016年11月、ガリシア地方南部内陸のワイン産地、リベイロへ行ってきました。
朝もやのかかる朝10時、オウレンセを出発!
ご案内していただいたのは、日本ではワイナリー和泉屋さん取り扱いの名ワイナリー、Lagar do Merens(ラガール・ド・メレンス)のオーナー、ホセさん。
オウレンセを出てすぐ、リベイロの心臓と言われるRIBADAVIAの標識が見えます。車で20分ほど。
リバダビアのガリシア語話者の人口比率96.46%、もうおおよそ全員話すってことです。テンション上がります。
Ribadaviaの文字の上にある、カルバジーニョはタコが世界一おいしい村だよ と、ホセさん。昼食はカルバジーニョで食べるから楽しみにね!
さらに道を進むと、温泉の街オウレンセには、街中だけではなく郊外にも温泉の標識がちらほら。
温泉はTermas(テルマス)と言います。次回は温泉めぐりしたいですね。
オウレンセを出て30分も走ると、周りは一面ぶどう畑に。
リベイロの畑へ
早速ホセさんのトレイシャドゥーラの畑へ連れて行ってもらいました。
混植(複数の品種のぶどうの樹を一緒に植えていること、植わっている状態)が普通のリベイロ(貧しく厳しい内陸では、病気や気候条件による壊滅のリスクを避けるため混植が多い、特にリベイロは経済政策で多くの土着品種が引き抜かれ、生産力の高いパロミノが植えられた歴史がある)にとって新たな挑戦、単一区画で作るトレイシャドゥーラの樹はまだ樹齢3年ほど。
このぶどうから採れるワインが飲めるのは10年以上先、と真摯に樹を見つめるホセさんの横顔が印象的でした。
土壌は小石がざくざくしている砂壌土状の花崗岩質。ところどころ自然の草が生えています。
リベイロは混植
また一方で、古い樹齢の樹が残る区画に関しては、混植の割合を変えない、というのがホセさんのこだわりでもあるそうです。
トレイシャドゥーラが一本枯れたら、トレイシャドゥーラを植える。
ゴデージョが枯れたら、ゴデージョを植える。
リベイロの畑は、コシード・ガジェゴだよ、
とホセさんは言いました。
コシード・ガジェゴはガリシア風煮込みの意味で、ガリシア名物。
いろんな具(豆、芋、豚耳、腸詰、かぶの葉、キャベツなど)が入った煮込み料理です。
それぞれから味が出て混じりあって美味しくなる。
この伝統はガリシアの伝統であり、リベイロの失ってはいけない伝統だと言いました。
下草として多く生えているのは、Ortigas(オルティガス)日本名は西洋イラクサ。葉には小さなとげが無数にあり、人や動物が触るとその毒からかゆみ、痛みをともなう炎症を起こす草です。
人間にはイヤな草ですが、土にとっては癒すもの(ヒーラー)と呼ばれるほど、土を健康的に保ち、害を与える虫を防いでくれる草でもあります。
最近はこのイラクサの栄養価が評価され、食用に水煮にして売っているメーカーもあるほど。
でも、生えている葉は本当に危険なので触らないほうがいいです。
リベイロの風景
こちらがラガール・ド・メレンスのオーナー、ホセさん。リベイロでも高く評価されているワイナリーで、世界中を飛び回り、そのほかはずっと畑にいるそうです。
畑からワイナリーへ向かう途中に寄ったBar Flor Arnoya、ホセさん曰く、ここのエンパナーダが一番おいしいとのこと。地元民じゃなければ絶対通り過ぎてしまう外観。
オーブンから出したばかりのあつあつエンパナーダをトランクに入れて、ワイナリーへ向かいました。
そして村を通りぬけるとちらほらと見えた、「Venta de vino(ワイン販売)」「Cosecha propia(手作り)」の看板
これはもしや・・ガリシアの村にはぶどう栽培農家や自家でぶどうを作っている人がワインを醸造し売ったり飲ませたりするFrancho(フランチョ)と呼ばれる法的にはグレーな形態のお店があると聞きました。
どきどきしながらも、これは次回ディスカバーすることに。(というのも、フランチョは法的にワインを販売している人たちからは疎まれる存在とのことで、名ワイナリーの醸造家に質問するのも気が引けて・・)後ろ髪ひかれるー!
ワイナリー、ラガール・ド・メレンス
ワイナリーはArnoiaという小さな村にあります。
木と石で作られた小さな小屋がホセさんのワイナリーです。入口には無機質なポリタンクがたくさん・・開けてみると・・
ワインを作る工程で出る、発酵したぶどうの皮と種が大量に!これは蒸留所へ販売しアグアルディエンテ・デ・オルッホになるとのことでした。(アグアルディエンテ・デ・オルッホとは)
試飲の前に・・と、まだ温かい鱈のエンパナーダを切り分けてくれるホセさん
絶品!!
頂いたワインはどれも素晴らしく、また、静かで豊かな時間を過ごさせていただきました。
リベイロでランチは、タコ
ワインを数本持って、向かうはO Carballiño (オ・カルバジーニョ)村
ここはホセさん曰く”世界一のタコのガリシア風”が食べられる村です。
タコが売りのレストランがそこかしこにあります。向かったのは一番モダンな雰囲気のプルペリア(タコ屋さん)
ちなみにカルバジーニョ村のお隣の村は、原産地呼称を持つパン、Pan de Cea(パン・デ・セア)を作るセア村、提供されるパンはもちろん、朝焼きたてのパン・デ・セアです。
皮ががりっと硬く厚く、中身はしっとりもちもちのパンです。
世界一のタコ
来ました!これがホセさん曰く、「世界一のタコ」
栄養豊かなガリシアの海でおいしい蟹やエビを捕食するという贅沢なタコ、じっくりと茹でて柔らかく(でもアルデンテがポイントだそうです)なったタコは旨みがすごいので、ほんの少しの塩と少しのピメントンだけで美味しいそうです。
このピメントンは辛みのあるピカンテタイプでした。食べてみると納得、弾力のあるタコを噛むとじゅわーっと旨みが口に広がり、ほんのりかけられた香り高いピメントンがちょうどいいのです。
たこ尽くし!こちらはタコの鉄板焼き。かりっと焼かれたタコは、また触感が異なりこちらもおいしい。
タコを食べた後の器には、タコのゆで汁とオイルがたっぷり残っています。
香ばしいパン・デ・セアを浸して食べるのも地元流。
タコの次にこのお店で人気の、Carne pucheiro(カルネ・プチェイロ)牛肉の大鍋煮。日本人的に言うと、箸でほぐれる柔らかさ。
こちらも塩とピメントン、オイルだけの味付け。素朴。冷涼感のあるリベイロの赤ワインと良く合います。
酪農が豊かなガリシアのデザートは、ミルクベースのお菓子がたくさん。
チーズタルト、レチェフリッタ(クリームのフライ)、フィジョア(クレープ)、チョコタルトに、タコでおなかがいっぱいの一同も歓声。
スペインでは、「ガリシアに行く」は「たくさん食べる」を意味します笑
どこへ行っても提供される量がすごい!
ガリシアは、特に内陸は貧しい歴史を持つ地域、おなか一杯食べさせることは一番のホスピタリティ。
ガリシアのサンタさん
最後に、そんなおなか一杯!になるガリシアらしいエピソードをひとつ。
ガリシアのクリスマスの伝説に、オ・アパルパドールという山から降りてくるおじさんがいます。
参照:http://www.albergueoapalpador.com/?Cod=135
ベレー帽をかぶり、赤毛のひげを蓄え、古いベストを着てパイプを吸う太ったおじさんは、普段は誰も住まない山で炭を焼いています。食べるものは野生のベリーや仕留めたイノシシ、
そんな炭焼きおじさんが山を降りてくるのは12月24日の夜、スペインではNoche buena(ノーチェ・ブエナ)と呼ぶクリスマス・イブ。そこから村々の家をめぐります。
煙突から家に入ったおじさんは、ベッドに寝ている子供たちがちゃんと食べているかお腹を触り、満足に食べることができているかチェックします。
そして、子供たちに山のおいしい栗を置いていくのです。
アパルパドールがお腹を触ったとき、ちゃんと一杯になっている子供はまた次の一年も食に困ることがないと言われ、クリスマスには寝る前までたくさん食べる習慣があったそうです。
現在では赤と白のサンタクロースプロモーションに席巻されているスペインのクリスマス、最近はアパルパドール伝説を復興させるため、ガリシアの様々な地域で子供たちへ語り継ぐイベントが行われているそうです。
お腹がいっぱいであることが大切なこと、そんなガリシアは間違いなくぐりすぺの大好きな土地でした。
ぐりすぺさん、ナイスな記事ありがとうございます。またガリシアに行きて〜!ワイナリーにも行きたいと唸ってしまいます^_^
たむやすさん!コメントありがとうございますー!
わたしも写真張り付けながら唸っていました、またすぐガリシアに行きた~い!
ガリシアの魔法にかかってしまったので、しばらくガリシアネタがつづくかと思われます笑
また見ていただけたら嬉しいです~!