ガリシアの伝説のケーキ
ガリシア、ルーゴからア・コルーニャへ向かう道のりの山中、ほぼ中間地点にギティリースという小さな村があります。
この村の名物は、とうもろこし粉を使ったふわふわのビスコッチョ(スポンジケーキ)。このケーキには伝説があります。
マリア様が乞食に姿をやつしギティリスの家々に一夜の寝床を探して頼んで回るも次々に断られ、唯一招き入れてくれた家には貧しい家族が暮らしていました。貧しい家には子供がいましたが、子供が食べるものもない状態、マリア様は、かまどに残った灰をかためてケーキを作るように家の女性に頼みました。灰をかためると奇跡によってとうもろこしのケーキに形を変え、これがギティリスで作られた初めてのケーキになりました。翌日、洪水が去った後の町には、マリア様を助けた家以外の全ての家が流され、跡形もなくなっていました。
10 postres típicos de Galicia que no te puedes perder si haces el Camino de Santiagoより参照
かまどの灰から生まれたマリア様のケーキが、21世紀の今でもガリシアで愛され食べられていると聞いて行ってきました。
ルーゴ県ギティリスへ
村で一番のトルタが食べれると評判だったのは、パナデリア・ダビース。
Panadería David
住所:Avda. da Coruña, 58 27300 Guitiriz – Lugo
http://www.panaderiadavid.com/
1925年創業、トルタ・デ・マイス(とうもろこしケーキ)専門店です。
お店に入ると、戸棚にひっそりすぎるほどひっそり並んでいたのが、奇跡のケーキ。
小(7ユーロ)と大(12ユーロ)の二種類のみ、このケーキだけで90年以上営業しているとは、それも日本でいえば奇跡的。
静かな年配の女性が、丸いケーキをきれいに紙で包んでくれました。どうやって包むのか良く見たけどわかりませんでした!
これが、マリア様伝説のケーキ
我慢できずに道で紙オープン、お店の戸棚では遠くに見えた茶色いケーキは、間近で見ると表面に振られたお砂糖がきらきら光るふわっふわの素朴なケーキでした。
割ってみるとその感触に驚き。とうもろこし粉、卵、砂糖、バターだけを使ったケーキということで、ぼそっと固めの質感をイメージしていましたが、パナデリア・ダビースのトルタ・デ・マイスは、もっちもちのふっわふわ!
甘みはしっかりですが、くちどけも良く、しっかりとうもろこしの香りふんわり、これまで食べた素朴ケーキの中で素朴ナンバースリーに入る素朴さ。美しい素朴さ。
伝説のケーキの由来
どういった経緯で、このギティリースのとうもろこしケーキがマリア様の伝説のケーキとなったのかは不明ですが、実際の発祥は20世紀、つまりパナデリア・ダビースが開業するあたりと言われています。
当時、硫黄泉質の温泉があり緑が瑞々しいギティリースには、避暑、保養を求めて多くの観光客が押し寄せていました。
ある宿の女主人が、宿泊客のためのケーキを焼こうとした際に小麦粉を切らしていたことに気づき、手元にあったとうもろこし粉を入れて焼いたところ、宿泊客がそのケーキを絶賛したことから、毎晩そのレシピでケーキを焼くことになり、名物となったとか。
ルーゴ周辺では箱入りのトルタ・デ・マイスが売っていますが、車があればぜひ発祥の地ギティリースまで。
おすすめのお店パナデリーア・ダビースの向かいには、老夫婦がやっているバルもあってテラスでビールも飲め、並びにはレトロな食堂もあります。
有名観光地にはないのどかな時間が流れる静かなギティリースで、素敵なケーキに出会えました。
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