初めてスペインで年越しした時、白ぶどうを一人12粒用意し、カウントダウンの鐘の音に合わせて一粒ずつ食べる習慣を知りました。その後スペインで年越しする機会がないのですが、ふと、なぜぶどうを食べるの?どうして12粒?と思い立ち、調べてみました。諸説あるうち、よく話されている一説を紹介します。
スペインの年越しでぶどうを食べるようになった意外な理由
18世紀半ばにはスペイン、マドリードのブルジョワがフランスの年越しスタイルを真似て、ぶどうをつまみながらシャンパンで乾杯して過ごすことがおっしゃれ〜!とされていました。
1880年、マドリード当局が大晦日の街中での集会、騒ぎを禁止。しかし当時まだ集まることが許されていたPuerta de Solへ時計の鐘の音を聴きに集まった、お祭りを奪われた人たちが、貴族の習慣を嘲笑する意味でぶどうを食べ、マドリード市議会の制限に抗議を表しました。
その翌年も人々は抗議と嘲笑の意味で、新年への鐘の音を聴きながらぶどうをたべ、1882年には複数の新聞がこの新しい「伝統」について取り上げています。
さらにその2年後には「不朽となった新しい伝統」とまで言及されています。「カウントダウンぶどう」は、実はマドリード人の皮肉と抗議から始まった、比較的新しい習慣だったんですね。
20世紀に入り、豊作により大量のぶどうが余ったアリカンテのぶどう農家が、年末のマドリードへ安く出荷、一般市民の大晦日の食卓にもより安価にぶどうが並ぶようになります。
1930年には当時の君主アルフォンソ13世もこの習慣を取り入れたことがニュースに。民衆が貴族を笑った行動の始まりが、ここでガラリと様相を変えています。
12回の鐘に合わせて12ヶ月を意味する数のぶどうをたべ、幸運を祈る。
ぶどうはもともと豊かさ、実り、喜び、兄弟愛などポジティブな意味を持つことから、1960年頃(テレビの普及と合わせて)マドリードの年越しの映像とともに「幸運のぶどう」の習慣がスペイン全土へ広がったと言われています。
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