アストゥリアス

アフエガル・ピトゥ Afuega’l Pitu 

アストゥリアスのチーズ

afuega_tcm7-206422Quesu Afuega’l Pitu ケス・アフエガルピトゥ

産地:アストゥリアス中心に位置するグラドスがもっとも多く生産している。他D.O.で認められている産地はサラス、プラビア、ティネド、ベルモンテ・デ・ミランダ、カンダモ、クディジェロ、ラス・レゲラス、モルシン、ムロス・デル・ナロン、リオサ、サント・アドリアーノ、ソト・デル・バルコ、バルデス

アストゥリアスの広い地域で作られ、この土地では最も人気のあるチーズ

ミルク:牛乳(ホルスタイン種、アストゥリアス種またはそのかけ合わせ)

産地呼称:D.O.Afuega’l Pitu

200~800gの円錐台または茶巾型

加熱殺菌していない牛乳、もしくは低温殺菌乳で15日~熟成。

フレッシュタイプは酸がさわやか、熟成が進むにつれてクリーミーさが増し、長期熟成となると表面に白カビが生え、ブリーチーズをもっとねっちりと硬くしたような質感に、酸はほとんど消える。

プレーンタイプと、ピメントン・ピカンテ(辛いパプリカパウダー)を加えオレンジ色のタイプがある。

円錐台はカードを練らずに型へ流し込むため、熟成が浅いとほろほろとした質感がある。
茶巾型はカードを練って布で縛り成型するため、もっちりとした質感となる。
どちらも熟成が進むと硬く乾燥していく。

産地となっている地域はどこも海洋性気候の影響を受け、年中穏やかに雨の降り湿度が高いのが特徴で、牛のえさとなる牧草がふんだんに栄養たっぷりに育つ。傾斜が急な丘陵地帯なため、古来から農業より酪農・畜産が盛んな地域だった。

アフエガルピトゥ Afuega’l Pitu はアストゥリアスの公用語バブレ語

スペイン語でahogar el pollo(鶏を窒息させる)と、ahogar la garganta(喉を絞める)と二通りに訳せるが、由来には諸説あり、鶏に与えて熟成具合をみた(熟成が進んでいると硬くなるので鶏が息を詰まらせる)、とか、茶巾型に、まるで喉を絞めるように袋を絞ることからその名となったと言われる。

貧しかったアストゥリアス内陸に点在する小さな農家たちにとって、年中豊かな牧草が生える土地にいて最も見込みのある現金収入は生まれたばかりの子牛を売ることだった。

子牛を生んだ後の母牛から絞る牛乳はそのまま飲まれるか、静置させ分離した脂肪分をバターにし、これも現金収入に充てられた。脂肪分を取り除いたあとのミルクでチーズが作られたが、これはバターが良い収入となったこと、また当時チーズは自家消費用で、プロのチーズ作りの知識がなかったことに起因している。(現在は脂肪分を分離させず作られている)

作ったチーズはフレッシュでそのまま、もしくはフルーツと共に食されたが、余った分が放置され熟成が進んだものは、食べてみると脂肪分が少ないため硬く喉にはりつき、窒息しそうになった、というのが現在最も信憑性のある説という。

ちなみに、ピメントン・ピカンテが加えられたオレンジ色のAfuega’l Pitu rojoは、スペインでは珍しく香辛料を練りこんだチーズである。

この起源にも諸説あり、最も信憑性の低い説は「品質のばらつきを隠すため、状態の悪さがばれないように」だが、全く根拠がないわけではなく、ピメントンは殺菌の効果と、表面に塗った場合チーズの乾燥を防ぐという効果に加え、すばらしい香りと味わいがある。「保存性を高めるため」説が悪く理解され伝わった説と言われている。

現在最も信憑性のある説は、このチーズが作られる季節は牛乳の脂肪分が最も高くなる冬、つまりマタンサ(12月ごろに行われる豚の屠殺と腸詰・保存食品作り)と同時期となり、小さな農家の同じ作業場でチーズとチョリソー作り(大量のピメントンを使用する)などが平行して行われていたことにより、なんらかの偶然でミルクにピメントンが入ってしまい、そのまま作業をとめずに作ってみたら結果おいしかった!という偶然説と言われている。

白のアフエガル・ピトゥはフレッシュで食べると酸味が強いが、ピメントン入りはその風味で酸味がやわらかくなるという。

ピメントン入りはアフエガル・ピトゥの産地でも特に鉱山地帯で作られており、厳しい労働を強いられる労働者にとって、ぴりっと辛味のあるチーズはワインに良く合ったと言われる。当時の労働者にとって、ワインはただ楽しむものではなく、体の痛みを取り、滋養強壮の意味で飲まれていたことから、ワインが進む味わいのピメントン入りアフエガル・ピトゥは腹を満たし、同時に労働者に厳しい労働に耐える元気を与えていたと考えられている。

小さな農家でそれぞれに作られていたアフエガル・ピトゥは、80年代に衛生面での指導から一斉に低温殺菌のみのミルクを使用することとなったが、近年では設備が整備され加熱していない牛乳で作る伝統の製法が復活している。(Rey Siloのロゴ入りが加熱していない牛乳で作ったアフエガル・ピトゥ)

低温殺菌したミルクで作ったものより、ミルク本来の甘みが強く、味わいが深いという。

<製法>

  1. 22度~32度に温められたミルクに液状のクアッホ(子牛の胃からとれる凝乳酵素)を注ぎ、固める
  2. 15~20時間後にそのまま円錐台の型に入れるか、練った後に布に包み吊るしてホエーをきる。(半日~1日)
  3. 型の上から塩を塗り、型から外す際も塩水をくぐらせる。(茶巾型は練る際に塩を混ぜる場合もある)
  4. 乾燥後熟成室へ

*ピメントン入りは、ミルクの1%の分量

<食べ方>

フレッシュはそのまま蜂蜜をかけたり、ほぐしてサラダに入れたり、フルーツと

チーズケーキの材料としても使われる。

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