ラティーニョ・ガジェゴ、35年の月日を経て復興したぶどう品種

突然ですがみなさん、アルバリーニョは好きですか?
スペイン北西部ガリシア地方、リアスバイシャスの土着ぶどうの代表とも言えます。
華やかな香り、力強い酸、ふくよかな味わいがエレガントな味わいの白ワインを作ります。

さて、スペインには、どのくらい土着または外来でも現在は伝統的とみなされるぶどう品種があるのでしょうか?

スペインで栽培されるぶどう品種の数

現在の調べではワイン醸造用と食用合わせ235品種の土着・伝統的ぶどうがスペインで栽培されているといわれています。

26種類の食用を除き、111品種が全国70のD.O.で必須または推奨品種として使用されているもの、5品種がどのD.O.でも使用されていないもの、74品種がマイノリティまたは絶滅の危機があるもの、19品種が外来品種になります。

このうち、El registro de variedades de vid de España(商業的ぶどう品種登録)に登録されている(シノニム等でなく個の品種であることがDNAの証明や研究で証明されているもの)ぶどう品種が215品種となり、この登録リストに名のないぶどう品種は商業的な製品に名前が乗ることはないと言えます。

上記の品種の数、スペインワインに携わる方たちが見たら「意外と少なくない?」と思われるかもしれません。

235という数字は、証明が追いついた品種の数とも言え、実際にはまだまだ公式には認められていないものも多くあります。

新しく登録された、古いぶどう品種

スペイン各地方で愛される土着品種は、その地方特有の呼び名で呼ばれ数え切れません。中には名前も忘れられた品種、美味しい実をつけるのに誰もそれが何の品種だかわからない品種なども存在します。

2021年10月11日、歴史の移り変わりの中で姿を消したあるひとつの品種が、35年の研究と検証の月日を経て、とうとう商業ぶどう品種登録リストに名前を連ねることになったというニュースが出ました。

そのリストに新しく追加された品種は、

Ratiño Gallega(ラティーニョ・ガジェガ)です。

ガリシアのねずみちゃん、の意味だそうです。

ガリシア地方ポンテベドラ県、すなわちリアス・バイシャスの生産地周辺で、地域によりO Rosal地区ではCajarrento、また、リアス・バイシャスの中心地とも呼ばれるO salnés地区ではBlanco de Cabanelasと呼ばれ20世紀終わりに病気で「絶滅」するまで地域のワイン用ぶどうとして長く栽培されていたぶどうです。

1986年、ガリシアの地で失われたぶどうラティーニョの特定と研究がスタート、樹齢100年を越えるラティーニョの発見、地元ワイナリー、D.O.リアス・バイシャスが一体となり研究を進め、ついに、35年の年月を経て個の品種として「存在する」とことが証明されたのです。

35年、すごい年月ですよね。

ラティーニョ・ガジェガ種100%のワインが存在する

実はすでに、研究チームの一員だったBodega Viña Moraimaが、ラティーニョ100%(樹齢100年、プレフィロキセラ、ステンレスタンクで9ヶ月ソブレリアス)をリリースしています。

マウシーニョ(ボデガ・ビーニャ・モライマ)


https://www.adegamoraima.com/es/mausino-es/

ハーバル、ミネラルを感じるアロマ、滑らかで丸みがあり力強い味わいで、魚介や青魚、脂肪分の高いチーズ、タコのガリシア風、白身の肉料理に合うそうです。(ワイナリー説明より)

総量500リットル、まだ日本に入るのは難しそうですが、ご興味のあるインポーターさん、もしよろしければコンタクトしてみてください。

独裁政権終了以降1980年〜スペイン各地でさまざまな土着の文化・生産物の復興活動が活発化した背景に、長い研究・復興の月をかけてその土地の文化が再興する、そんなニュースがこれからも聞けるかもしれません。

参照:Campo Galego

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