北スペイン料理研究家の @erikogreenspain 、Erikoです。先日開催された「Basque Ambassadors (バスクアンバサダー)2026」開催報告です。素晴らしいイベントでした!
日本のバスクアンバサダー10名
2026年3月19日(木)、バスクのガストロノミー・バスク文化を体現し伝承する、バスクアンバサダー日本編の受賞者が10名発表されました。
バスクアンバサダーは、スペイン・サンセバスティアンの食の大学「バスククリナリーセンター」が主導し、バスク州政府観光局がサポートする公式のイベントです。

バスクアンバサダー受賞者一覧(敬称略・順不同)
- 中村 篤志 ビシガリ(仙台)
- ガリ・オルティゴサ 東京バスクの家(東京)
- 山口 純子 バスク美食倶楽部(サン・セバスティアン)
- 磯部 美木子 ランブロア(東京)
- 成澤 由浩 ナリサワ(東京)
- 寺田 徹 いろはわいん(東京)
- 山本 嘉嗣 アラルデ(大阪)
- パウロ・ベリオサバル 東京バスクの家(東京)
- 小西 由企夫 エル・ポニエンテ(大阪)
- 清水 和博 エチョラ(大阪)
受賞者のバスクアンバサダーの皆様、おめでとうございました!
続けて、皆様の選出の決め手となった功績をお一人ずつご紹介します。画像・文章はバスククリナリーセンターのメディア用素材から引用しています。
中村 篤志氏 仙台からバスクへ、そして再び仙台へ

プロフィール:仙台のバスク料理専門店「BiXiGARRi(ビシガリ)」オーナーシェフ。2000年に渡西し、サン・セバスティアンの名門「ルイス・イリサール料理学校」にて2年間にわたりバスク料理の神髄と食文化を学ぶ。リオハ・アラベサや、ギプスコア県オイアルツンの名店「Zuberoa(スベロア)」での研鑽を経て帰国。その後、東京・銀座や大阪の「エル・ポニエンテ」にて14年間にわたりキャリアを積み、そのうち11年間はバスク料理店「Ama Lur(アマ・ルール)」のシェフとして日本のバスク料理界を牽引した。25年以上にわたり、スペイン料理へ情熱を注ぎ続けている。
功績:中村氏は、日本におけるバスク料理の普及に尽力してきました。「BiXiGARRi(ビシガリ)」では、バスク料理の伝統、技術、そして食材への敬意を柱に、異国の地でありながらバスクのガストロノミーの本質を忠実に体現し続けています。
中村氏の表現は、日本とバスクの伝統のうち特に規律、敬意、そして世代を超えて受け継がれる料理知識の伝承など、二つの地域にある共通点を思い起こさせます。中村氏は、ガストロノミーを文化を伝承するための行為として捉えており、彼の仕事は調理だけではなく、文化を残し、教え、世代から世代へ繋ぐ礎作りにまで広がっています。
ガリ・オルティゴサ氏 日本でのバスク語とバスク文化の伝承

プロフィール:2020年、エチェパレ研究所を通じて東京外国語大学のバスク語講師に着任。同年「東京バスクの家(Euskal Etxea)」の会長に就任、日本におけるバスク・コミュニティの顔として活動を続けている。大学での教育にとどまらず、他機関と連携した多彩な文化プロジェクトをプロデュース。言語と文化の両面からバスクの魅力を多角的に発信し、日本とバスクを結ぶ新たな架け橋として重要な役割を担っている。
功績:ガリ・オルティゴサ氏は、日本におけるバスクへの理解を深め、国内のバスク人コミュニティを強化するためのプロジェクトを推進してきました。主な活動として、2023年に大学で開催された「バスク映画祭」や、2022年に東京で初めて開催され、以降隔年恒例の行事として定着した「コリカ・チキア(Korrika txikia:バスク語普及のためのランニングイベント)」の主催などがあります。
同氏の会長就任以来、「東京バスクの家」は交流とバスク文化発信の拠点としての役割をさらに強めてき
ました。バスク語使用推進運動「エウスカラ・アルディア(Euskaraldia)」への参画や、2025年に東京で
初開催された「トルティージャ・コンテスト」の主催といった取り組みには、日本におけるバスク文化の継承とその可視化に対する、同氏の継続的な献身が表れています。
山口 純子氏 ガストロノミー文化を繋げる

プロフィール:1973年広島県生まれ。ガストロノミー・ツーリズムのスペシャリストであり、日本においてバスク美食の普及を牽引する「バスク美食倶楽部」を主宰。1999年よりサン・セバスティアンを拠
点とし、現地取材のコーディネートや美食体験のプロデュースを通じて、バスクと日本を繋ぐ「文化の仲介役」として多大な貢献を果たしてきた。20年以上にわたり、現地のシェフや業界関係者と強固な信頼関係を築き、バスク料理の歴史から現代の進化に至るまで、その真髄を深く、一貫して発信し続けている。
功績:山口氏はこれまでのキャリアを通じて、バスク地方を美食の地として国際的にPRする上で重要な役割を果たしてきました。コンサルティングや歴史・文化的背景の体系化、さらには上質かつ地域の多様性を尊重するサステナブルな観光などの総合的な提唱により、日本における「美食の地・バスク」という一貫したブランドイメージの確立と強化に大きく貢献しています。
山口氏の活動は、ファインダイニングから地元の伝統料理に至るまでバスクの食文化を深く知ることを求める日本人観光客の誘致に貢献してきました。素材への感謝、旬を尊ぶ心など、日本とバスクに共通する信念を深く知る山口氏の知見と専門性が、両地域の絆をより強固に繋いでいます。
磯部 美木子氏 バスク料理を伝えて10年

プロフィール:1974年名古屋市生まれ。2001年、サン・セバスティアンの名門「ルイス・イリサール料理学校」で学ぶ。スペイン、日本両国の名だたるレストランで研鑽を積んだ後、2016年に東京で自身のバスク料理専門店「Lanbroa(ランブロア)」を開店し今年で10周年を迎える。世田谷の住宅街に佇む同店は、本場バスクの伝統に忠実な美食を求める食通たちが選ぶ名店となっている。
功績:磯部氏はこれまで10年間、自身のレストラン「Lanbroa(ランブロア)」にて、一貫して伝統的なバスク料理を表現してきました。鱈料理や、バスクチーズケーキなどを含む同店のメニューには、本場バスクで学んだバスク料理のアイデンティティを継承した品々が、日本の地で正確に、そして忠実に提供されています。
バスクでの修行に始まり、スペイン各地、日本で重ねてきた数々の研鑽が、現在の磯部氏の活躍に反映されています。バスクへの愛、料理への細やかなこだわりにより、ランブロアは東京におけるバスクの美食文化の存在を守る、日本とバスクという二つの地域を繋げる架け橋となっています。
成澤 由浩 皿の上の景色

プロフィール:東京・南青山にあるレストラン「NARISAWA」のオーナーシェフ。日本の伝統的な景観である「里山(森、農、地域社会が共生する姿)」から着想を得て、美食、自然、そしてサステナビリテ
ィを融合させた独自のスタイル「イノベーティブ里山キュイジーヌ」を確立。自身のレストランにおいて、環境への敬意、そして料理と健康、そして環境バランスの関係性を重視したアプローチを推進している。
功績:成澤氏の功績は、世界各地で受けてきた広範な評価によって、揺るぎないものとして裏打ちされています。自身のレストランは、長年にわたり世界最高峰の評価を受け続けており、特にサステナビリティや環境責任に関する数々の賞を受賞してきました。2019年には日本で開催されたG20サミットにおいて公式晩餐会の総料理長を務めたほか、2016年からは、美食が社会や環境に与える影響を称える「バスククリナリーワールドプライズ(Basque Culinary World Prize)」の審査員を務めています。
成澤氏はその活動を通じて、地域に深く根差し、自然環境を尊ぶガストロノミーのビジョンを世界へと
提示し続けてきました。文化の伝承とサステナビリティを発展の軸とする氏のアプローチは、食と自然
環境の調和という日本・バスク両地域に共通する信念を通じ、互いの文化的な絆を確固たるものにして
います。
寺田 徹氏 国境を超えるワイン

プロフィール:日本におけるバスクワインの主要インポーター・いろはわいんの一人で、15年以上にわたり、イルレギー、バスク地方の様々なチャコリ、リオハ・アラベサ、ナバラのワインの輸入を通じてその文化発信に
尽力し、ワインを通してバスク地方の豊かさとその個性を日本の人々に伝えている。
功績:寺田氏は、日本におけるバスク産ワイン普及の第一人者として重要な役割を果たしました。バスクの数多くのワイナリーの日本進出を支え、プロのみならず一般の消費者にまでバスク産ワインの認知度と評価を広く浸透させました。
15年以上にわたり寺田氏が心血を注いできた事業は、バスクの美食文化にとって欠かせない要素である
「料理とワインの繋がり」を深めることに大きく貢献しました。寺田氏のたゆまぬ努力によって、日本とバスクの文化的・食文化的双方の交流を拡大するための商業的な関係がしっかりと構築されています。
山本 嘉嗣氏 アラルデ、大阪でバスクを表現するファインダイニング

プロフィール:6年間にわたる日本料理の修行からキャリアをスタート。その後、ブエノス・アイレスで3年間炭火焼きの技術を学びさらなる研鑽を積む。
続いてスペインへ渡り、ミシュラン一ツ星の名店「Alameda(アラメダ)」にて3年間の研鑽後帰国。大阪のバスク料理店「Etxola(エチョラ)」の料理長を経て、2016年に自身のレストラン「Alarde(アラルデ)」をオープン。同店はミシュランの一ツ星を継続して獲得し、「ゴ・エ・ミヨ(Gault & Millau)」にも6年連続で掲載されるなど、高い評価を確立。2024年には、ワインとピンチョスを楽しめる新業態「Denda(デンダ)」を開店し、その活動の幅をさらに広げている。
功績:山本氏は、日本での研鑽、世界各地での経験、そしてバスク料理の高度な専門知識を融合させたスタイルを確立してきました。自身のレストラン「Alarde(アラルデ)」では、技術と素材をバスク料理の伝統の正確な解釈で融合させた独自のアプローチを貫いています。
長年にわたり、ミシュランやゴ・エ・ミヨにより高評価を受けているという事実は、同店の一貫した質の高さの証と言えます。また、美食に対して極めて厳しい感覚を持つ日本においてバスク料理が存在感を増し、ファインダイニングの枠で語られるようになった背景には山本氏の活動が大きく貢献しています。
パウロ・ベリオサバル氏 東京のバスクの家

プロフィール:バスク・ビスカヤ県エロリオ出身。東京におけるバスク文化の拠点「東京バスクの家(Euskal Etxea)」の創設者。来日以来、日本のバスク人コミュニティの組織化と支援に積極的に関わ
り、メンバー同士の相互扶助の場を築き上げ、交流に大きく貢献している。
功績:「東京バスクの家(Euskal Etxea)」の立役者として、ベリオサバル氏はバスク出身者や諸団体、そして様々なプロジェクト間の連携を推し進め、日本におけるバスク文化の存在感を高めることに尽力してきました。氏の活動は、多様なコミュニティの結束を促すとともに、バスク地方との文化的・社会的な繋がりを維持・発展させる上で多大な貢献を果たしています。
東日本大震災や福島第一原発事故など、日本在住のバスク人コミュニティがかつてない困難に直面した
際、メンバー間の緊密な連携と支援において極めて重要な役割を果たしました。ベリオサバル氏は同胞たちにとって大切な「心の拠り所」であり、日本とバスクの交流を草の根レベルからより強固なものへと発展させた功労者です。
小西 由企夫氏 日本における「バスクのアサドール」

プロフィール:レストラン「エル・ポニエンテ」のオーナーシェフ。1983年にスペインに渡り、以来40年以上スペイン料理に携わる。42年間にわたり、広い知見と伝統の技法の伝承に注力し、日本とバスクの食文化を繋いできた。
功績:2023年、小西氏は薪や炭を用いたバスク式の火入れ(アサドール)を日本に導入した先駆者としての功績が高く評価され、厚生労働省より「現代の名工」として表彰されました。バスクならではの調理法が、技術だけではなく、文化的な側面についても尊重され日本の地で確立し定着したことは、小西氏による大きな貢献によるものです。
2006年にはオンダリビアで美食フェアを開催するなど、両地域間の交流を深める活動にも尽力し、バス
クとの絆を深めてきました。40年以上にわたる長年の活動を通して、小西氏は日本におけるバスク料理の普及に大きく貢献しています。
清水 和博氏 伝統を紡ぐ新世代

プロフィール:1980年兵庫県生まれ。2008年より「レストランKIHACHI(キハチ)」にて6年間研鑽を積
む。2014年、大阪の「Etxola(エチョラ)」グループの2号店「bimendi(ビメンディ)」の料理長に就任。翌2015年には「Etxola」の料理長に就任。キャリアを通じて、バスク地方トロサの「Fronton(フロントン)」、ゲタリアの「El Kano(エルカノ)」ビルバオの「Zarate(サラテ)」「Etxanobe(エチャノベ)」などの名店で修行を重ね、バスク料理における高度な専門性を確立している。
功績:清水氏は、大阪・エチョラグループでの活動や、エルカノ、サラテ、エチャノベといったバスクを代表する名店での修行を通じて、バスク料理と密に繋がるキャリアを築いてきました。この経験が、技術的な知見と、バスクの食材やバスクの伝統料理に関するリアルな理解の融合に繋がっています。
2025年、大阪・関西万博のスペイン館レストランにおいて総料理長に就任したことは、清水氏の実力が
広く国際的に認められた結果です。この経験は清水氏の活動をよりグローバルなステージに押し上げる
とともに、日本におけるスペイン料理、バスク料理の存在をより輝かせるものとなりました。
バスクアンバサダー授与式・ガラパーティーの様子






バスクアンバサダー2026 開催後記
バスク州政府観光局からの紹介で、バスクアンバサダー2026日本の開催のお手伝いをさせていただくことになりました。
お話をいただいたのは今年に入ってからの1月30日、私が担当したのは各種広報資料の翻訳やゲストリスト作成、招待メール送付、司会者・通訳者の手配などです。
当日、ガラパーティーのフードコーナーには大好きなトロサの名門パティスリー(Eceiza)のお菓子が並ぶことはメニュー表の翻訳で知っていたので、絶対盗み食いしようと思ったんですが忙しすぎて叶いませんでした、悲しい!
でも、ステージに立ったバスクアンバサダーの皆さんの笑顔が素晴らしくて、感動しました。最高でした。
みなさん、かっこよかった!!!
スペイン業界は比較的、こうした授賞イベントが少ないように思います、もっとやるべきだと思います。
受賞を機会に多くの方達がその仕事を続けてきた人たちの道のりや想いを知ることができるし、その姿を見た後進の方達が勇気をもらえると思います。
今回、大好きな美食の地バスクが、日本の地でバスクの美食文化を発信している人々を取り上げ、称えた素晴らしいイベントに携われたことを光栄に思います。
関わっていただいた皆様、ありがとうございました!












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