スペインのアフリカ豚熱の原因:「トラック運転手が捨てたボカディージョが感染源?」報道出る

スペイン産豚肉輸入停止について

こんにちは、スペインの生ハムが大好き @erikogreenspain のErikoです。


(参照:El Ministerio de Agricultura investiga si el virus de la peste porcina africana de Collserola escapó de un laboratorio)


以下は2025年12月4日の公開分です。

2025年11月28日、何気なく流していたテレビのニュースから聞こえてきた「スペインでアフリカ豚熱発生、スペイン産豚肉とその加工品の輸入を停止」に思わず「えっ!!」と声を出してしまいました。

令和7年11月27日スペインの野生イノシシにおいて、アフリカ豚熱(ASF)の発生が確認された旨、スペイン政府から発表があり、スペイン政府の発表を受け、本病の我が国への侵入防止に万全を期するため、令和7年11月28日(金曜日)、スペインからの豚肉等の輸入を一時停止した

参照:農林水産省プレスリリース「スペインからの豚肉等の輸入一時停止措置について」

スペインからの豚肉等の輸入一時停止措置

脳裏によぎる業界の人たちの顔、20年前に訪れたギフエロのハモンメーカーのお父さんの顔まで浮かんできました。悔しい。

最近はいわゆる「イベリコ豚」や「ハモン・セラーノ」など以外にも普通のスペイン産豚肉が一般のスーパーに並んでいる光景にも慣れていました。

スペイン産豚肉輸入停止について
大好きロピアのスペイン産しゃぶしゃぶ用豚バラ

スペイン産豚肉輸入停止について
これ美味しかった、ご飯が食べたくなる(なった、いっぱい食べた)味付け豚ロース焼肉用

イタリアが2022年1月、ハンガリーがその数ヶ月後の同年4月にアフリカ豚熱発生のため日本への輸入が禁止となる以前の2018年にすでに、EUからの対日冷凍豚肉輸出国としてスペインがトップ国に躍り出ているほど勢いがありました。

参照:農畜産業振興機構(30年の冷蔵豚肉輸入量、過去最高の40万トン超え)より

直近の2024年でも、日本への総輸入量の17%のシェアを占めていたほどです。

スペイン産豚肉輸入停止について

画像引用:農林水産省プレスリリース「スペインからの豚肉等の輸入一時停止措置について」

突如出た、スペインのアフリカ豚熱「感染源仮説」のニュース

2025年12月4日(木)、スペインのニュースが一斉に「感染源の仮説」を報じました。

EUの豚肉最大生産国*スペインにとって、日本、フィリピン、メキシコ、米国など約40カ国への輸出が止まってしまったことは国民全体の生活を脅かす大きな問題となっています。

*スペインの豚肉は、年間輸出額が約90億ユーロに達し、EUで最大の豚肉生産量を誇るだけでなく、世界でも第3位となっている

実に1995年から30年ぶりの感染発生、タイミングも最悪、クリスマス前の超絶大打撃です。

どよめくスペイン国内を貫くように報じられたのはこんなニュースでした。

感染したボカディージョが、アフリカ豚熱発生の原因か

アフリカ豚熱に感染した野生イノシシの死体(現在9頭)が見つかっているのは、カタルーニャ州バルセロナの自治体セルダニョーラ・デル・バジェス、それ以外の地域ではまだ確認されていません。

また、畜産の豚への感染も現時点では確認されていません。

カタルーニャ州農業・畜産・漁業・食料大臣のオスカル・オルデイグ氏は12月4日、「バルセロナはトラック運転手が多く、人口も多い主要道路の交差点であり、イノシシが周辺のゴミの中からサンドイッチなどの食べ物を食べた可能性があります。近年、イノシシはこうしたゴミにアクセスしやすくなり、その数が増加しています。」と発表しました。

参照:EL PAIS – Claves de la peste porcina: demasiados jabalíes sueltos, un virus muy contagioso y la posible pista del bocata

この発表では「こうした環境からそのような原因が一つの仮説として考えられる」と読めますが、メディアが一番キャッチーなフレーズで見出しを作るのはどの国も一緒と見えて、

スペインの各社メディアが”トラック運転手が捨てたボカディージョが原因説」を報じたという経緯です。

広がる不審の声(ネット荒れる)

トラック運転手が食べ残したボカディージョが原因説についてネットは大荒れ、一部その声を紹介します。(私のフィルターが入らないよう、文章はGoogle翻訳で訳しています)

引用元:Directo al Paradar Instagram

じゃああとはトラックの色が分かれば解決だね!もう死んだイノシシに聞いたのかな😮?

スペインにはすごい捜査官たちが揃っているんだね!

感銘さえ受けるね。マノロ(仮名)がある日妻に作ってもらったボカディージョの具が気に入らなくて食べかけを捨てて、それを野生のイノシシが食べて、マノロは別のバルでお気に入りの具のボカディージョを買った、これが何かしらの捜査によって証明されたわけだから

まるでサーカス、嘘ばっかり。情報統制以外の何物でもない。

ハハハ、全国停電の原因だって不明なのに、今回はトラック運転手のサンドイッチが原因だったんだ!トラック運転手だって分かってるんだね。😮

さらに、いくつか同じような疑いについて話している人もいました。

コルセローラの獣医研究センターの近くで、偶然にも豚コレラを調査しているところで、初めてイノシシが発見されました🙄😒

野生のイノシシに豚コレラワクチンの試験用の弱毒化ウイルスを接種したことがその原因であるかどうか・・・

😂😂😂 それは、コウモリを食べた中国人のせいでCOVIDが世界中に広がったという話よりも想像力豊かだわ。

しかし、グラウンドゼロのすぐ近くにウイルスを扱う製薬会社があったのではないですか?

野生イノシシ急増の背景も

スペインでは近年、複雑化・強化された猟規制や、都市部のゴミ箱などから餌を得ることを覚えたイノシシが増えたこと、また野生のイノシシへ給餌する仕組み(その後成長したら狩る)などの影響から、スペインの前回のアフリカ豚熱発生以前の1994年に比べ、野生イノシシが約10倍に増えたと言われています。

日本でも今年は熊の被害が多くニュースになりましたが、生態系の均衡が崩れていることがアフリカ豚熱を引き起こした一端にあることは確かなようです。

スペイン産の豚肉や生ハム、チョリソなどの加工品は食べれないのか

これ、大切なことです。

実はすでに、近くの(いつでもハモン・セラーノが店頭に並んでいた)クイーンズ伊勢丹の店頭からはスペイン産生ハムは姿を消していました涙。

「感染による輸出停止」を受け、危険であるかのような印象を受けますが、スペイン産豚肉や加工品は食べて大丈夫です。

今回の感染地であるスペインでも下記のように発表されています。

このウイルスは人間には影響がなく、人間が感染することもありません。したがって、豚肉製品の摂取は100%安全です。アフリカ豚コレラ(ASF)は豚肉製品(肉、ソーセージなど)内で数週間から数ヶ月間生存しますが、他の豚への感染源となるのは、これらの製品が適切に取り扱われず、人間の手の届く範囲に置かれた場合のみです。人間は、意図せず衣類、靴、または車両にウイルスを付着させてしまう可能性があります。

ルイス・プラナス農業大臣は月曜日、この病気は「人間の健康に影響を及ぼさない」と述べ、豚肉および豚肉製品の摂取にリスクはないと明言しました。また、食料供給は保証されていると述べました。

参照:EL PAIS – Claves de la peste porcina: demasiados jabalíes sueltos, un virus muy contagioso y la posible pista del bocata

イノシシの死骸が発見された半径20キロメートル圏内のいわゆる「感染地域」にある39の農場(現在検疫中)を除き、スペイン全土の豚肉製品はEUには引き続き輸出を継続できることが発表されています。

すでに日本に輸入されている豚肉製品は安心して食べることができると断言できます。

農林水産省でも下記のように記載があります。

   なお、アフリカ豚熱は豚、いのししの病気であり、人に感染することはありません。

引用:農林水産省 – アフリカ豚熱(ASF)についてより

バルやレストラン、日本全国のスーパーにあるスペイン産豚肉、なにとぞ廃棄しないでください!

今後のスペイン産豚肉製品の輸入再開について見通し

農林水産省の輸入一時停止のプレスリリース内では、再開についての条件や今後の見通しなどは記載はありませんでした。

アフリカ豚熱は、1件でも発生すると国際的に輸出が制限されるブラックリストに入り、そのリストから出る(アフリカ豚熱清浄国となる)には、最後の陽性例から12か月感染例がないと判断される必要があります。

つまり、少なくとも、めちゃ最短でも、1年は輸出ができないということになります。

現在、カタルーニャ州の地方の捜査員、警察、スペイン軍緊急事態対処部隊(UME)などの捜査関係者は、最初の症例が発見された場所のセルダニョーラ・デル・バジェス(バルセロナ)市内のベラテッラ地区で周囲6キロメートルの監視区域の捜索を続けています。(具体的には、C-58、AP-7、C-16高速道路に挟まれた森林地帯で、300平方メートルの区画ごとに異なる部隊を割り当てて捜索活動と、忌避剤や物理的な柵などを設置し野生動物の封じ込めを行っている。)

12月4日時点で50頭を超えるイノシシの死骸が見つかっており(現在検査中)、うち9頭がアフリカ豚熱陽性とわかっています。

アフリカ豚熱にはワクチンはなく、物理的に封じ込め、断絶するしか方法はないそうです。

野生イノシシの捕獲・屠殺についてはEU委員会とスペイン農業省の技術者からの指示待ちで、現時点では死骸の捜索、野生動物の移動の封じ込めのみが行われている段階です。

一刻も早い感染の封じ込めが成功することを心から祈っています。

なお、EUならびにスペイン、カタルーニャ自治州では豚肉製品加工業界への大規模な補助金についての投入を続々発表しています。

しかし日本ではスペインの豚肉製品を輸入し加工しているメーカーや取り扱っている小売店、レストランへの補償はないようです。

日本農業新聞が2025年12月2日に掲載した記事「輸入業者、ハム・ソーセージ調達不安… スペイン産豚肉輸入停止」から引用すると、

国内の食肉輸入業者は、スペイン産の代替となる調達先探しに動く。だが、「月に1万トン以上の供給を賄える国がない」として、先行きの不透明感を訴える。


前年比2倍超で輸入量が拡大するブラジル産を代替として挙げる声が多いものの、「輸出可能な州が限られており、供給量が賄えるか不明」(日本食肉輸出入協会)だ。

 肉質の違いから、代替に不向きとする声もある。スペイン産の豚肉は赤身率が高く、ベーコン製造に充てる業者が多い。一方で「ブラジル産は脂肪量が多く加工メーカーが好まない」(輸入業者)。

 輸入業者は「輸入再開にはかなりの時間がかかる」と見込んでおり、年明けからは輸入の総量が大幅に減るという。

スペインのアフリカ豚熱は、スペイン業界関係者だけの問題ではないようです。

日本では「スペイン産豚肉輸入停止で食卓に影響はあるか」という、他の国から代替品輸入できれば食卓には影響あんまりないかも、的な見出しが多いですが、残念ですが間違いなく、影響はあると言えます。

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