スペインを振り返る⑫レオン(2013年収穫期の旅)はこちら
レオンからアストゥリアスへバスでオビエドを目指します。オビエドに滞在できるのは半日、夜にはアストゥリアスの港町ジャネスに向かう、途中下車の旅です。
レオンで知り合ったマコトさんが、オビエドまで同行して案内してくれた贅沢な遠足。
上の写真は全てバスの車窓から。PCでこのサイトをご覧の方、ぜひ写真をクリックして大きくして見てね。きれいだからー!
この土地のキャッチコピー、Asturias, Paraíso Natural(アストゥリアス、自然の楽園)が眼下に広がる2時間の旅です。この道中だけでも価値あり。
スペイン中央部や、バスク周辺とは違う、切り立った岩山を縫うようにして進みます。山々の間に広がる小さな緑の丘に、ぽつぽつとオレンジ色の屋根の民家が散らばり、点々と牛が放牧されている、想像していた通りのアストゥリアスの風景でした。
オビエドの街に到着し、まず訪れたのは世界遺産「オビエドとアストゥリアス王国の建築物群(Monumentos de Oviedo y del Reino de Asturias)」のひとつ、ロマネスク様式のサン・ミゲル・デ・リーリョ教会。
アストゥリアス語ではSamiguel de Lliño(サミグエル・デ・リィーニョ)
バス停からタクシーで5分ほど、町並みを抜け坂を上がったナランコ山中腹にあります。
西暦842年頃アストゥリアス王ラミロ1世により建築が始まったとされています。
山の中にぽこん。
歩いてすぐにもうひとつラミロ1世によって建立されたサンタ・マリア・デル・ナランコ教会。本来は教会ではなく、王室のホールとして建てられたもの。
オビエドの街を見下ろせる、絶景スポットでもあります。
ガリシアではHórreo(オレオ)、アストゥリアスではHorru(オッル)と呼ぶ高床式貯蔵庫。湿度の高い土地で見かけます。
山を登った行きはタクシーで、帰りは徒歩で散歩しながら街に戻りました。
向かったのはCalle Gascona(ガスコナ通り)大きなシードラ(りんご酒)樽が目印です!
通りに入ると、むんむんとシードラの香り!
“Si perdimos el paraíso por una manzana, lo recuperaremos por la sidra”
もし一つの林檎のために私たちが楽園を失ったのなら、シードラをもってそれを取り返そう。
楽園アストゥリアスの誇り、シードラを飲みまくります!
道の両側に立ち並ぶシードレリア(りんご酒バル)
今回向かったのは、地元でも有名なこちら↓
Calle Gascona, 1, 33001 Oviedo, Asturias, スペイン
アストゥリアス州内に5店舗を展開する人気のシードレリアです。
お昼12時~夜24時まで通し営業しているから、早めにおなかがすく日本人にもぴったり。
お店バーチャル訪問はコチラ
店内入り口にはアストゥリアスの食料品も販売されています。食事とお土産購入を両立できる、時短スポットでもあるんですよー!
ちなみに街中にもTierra Asturのお土産屋さんあり。
魅惑的なショーウィンドウ、白いんげん豆がふんだんにばら撒かれています。
Fabada(ファバーダ、アストゥリアス名物の白いんげん豆の煮込み)セット。
Orujo(オルッホ、ブドウの搾りかすの蒸留酒)をベースにしたリキュールの小瓶も全種類欲しくなります・・
アストゥリアスといえば、のカブラレスチーズ。見よこの熟成感が見てわかるなめらかな大理石のような断面!
他にもミルクの国アストゥリアスならではの地元産チーズが揃います。もちろんアフエガル・ピトゥも。
店員さんがシードラをそこかしこのテーブルで注ぐ店内、満員でした。(予約してなかったので、少し待ちました)
テーブルにつくとすぐに運ばれてくる、山盛りのパン。
メニューは観光客にも優しい写真付き、食いしん坊には目の毒!しかしどの写真を見ても激しいボリューム感の恐れが・・
早速頼んだシードラ、手ぴーん!
とにかく高い!アストゥリアスの本物のエスカンシアドール達にとって、”Hacia los picos de Europa”(ピコス・デ・エウロパ山脈方面)を見て(手元は見ずに)注ぐのが粋だと教えてくれました。
シードラ用のボデガグラスが空くのを見計らって、店員さんが注ぎに来てくれます。
まずはサラダ、「スペインサラダ」と呼ぶにふさわしい、レタス+トマト+生たまねぎ+オリーブの実。味付けはオリーブオイル、ビネガー、塩で。サラダのボリュームもすごいですしサラダの奥に見えるパン一切れもでかい。
床にはこぼれたシードラで滑らないようにおが屑が撒かれています。
そしてはずせないFabada(ファバーダ)ももちろんオーダーしました。
アストゥリアスならではの肉厚ふっくらな白いんげん豆、Faba(ファバ)がほっくり。良く煮えてとろとろになったMorcilla(モルシージャ・豚の血液の腸詰)と、肉質のキメが細かい煮込み用チョリソーが絶品。「熱々ほくほくねっとり」なファバーダに合わせて、さっぱりとしたシードラがどんどん進みます。
メニューに見つけた「シードラのサングリア」試してみたくてオーダーしました。シードラは一度抜栓するともたないので、余ると料理に使ったりしますが、サングリアはナイスアイデアです。(日本全国のスペイン料理屋さん注目)
青りんごがスライスされて漬かってます。あまぁああああい。炭酸で割ったら最高なはず。
そして、悩んだ末に頼んでしまった、アストゥリアスならではの「肉盛り!」!
大人4人でも食べ切れなかった衝撃のボリューム!!
サイズはメンタームリップクリーム参照、鶏・豚・牛・仔羊がいろんな形で盛られてます。下には大盛りのポテトフライ
肉だけでなく、ソーセージやチョリソー、モルシージャももれなく入ってます。
肉でひーひー言った後も、もちろんポストレは欠かせません。
アストゥリアスならではのArroz con leche(アロス・コン・レチェ、お米のミルク煮)は、表面がキャラメリゼしてあるのが特徴。(他地域ではキャラメリゼはせず、シナモンを振って仕上げます)
また、もう一品アストゥリアスらしい、Filloas(フィジョアス、クレープ)。
アストゥリアス産チーズ盛り合わせや、他にもいろいろな料理・デザートがありました。絶対4人以上で行くべきだし、最低10回通わなければ制覇できないメニュー数。
最後のカフェは、氷とレモンを頼んでさっぱりアイスコーヒーに。
食べ切れなかったお肉はお持ち帰り用に包んでもらいました。
ちょっと値段も高め(とはいえ、4人で120ユーロほどだった記憶)なので、店内の年齢層は高め。落ち着いて食事できます。店員さんたちもみなさん感じが良く、超おすすめのレストランです。ぜひ。
膨れた腹を抱えて4人、残された時間を街ぶらり。
キッチン用品店のショーウィンドウには、シードラを注ぐ電動シードラ機が。絶対欲しかったのだけど、写真右に写ってる樽からシードラが飛び出るタイプはなんと100ユーロ・・・・ちょっと日本人に作らせて20ユーロに抑えるから!ということで残りお小遣いが少なくなってきた三十路、断念。キリギリスのように暮らしてきたツケがここで発揮されます。
ちなみに某代々木八幡のスペイン料理屋Aのシェフは別日程でオビエドを訪れてこの電動シードラ機(樽バージョン)買ってます。流行ってるお店のシェフは違いますね。この100ユーロマシーンでシードラを飲みたい方はぜひ、彼のお店へ。
こうゆう人形とか置物とか、買いたくなるんですよね、旅先って。家に帰ったら箱から出して、考えて、仕舞ってしまうものなのに。
スペイン在住だったら買いたかったFaba(ファバ)のキロ売りも、「アストゥリアスっぽくて」燃えます。
安っぽいおみやげTシャツも、リオハとかならAhorra agua, Bebe vino(節水してワインを飲もう)だけどアストゥリアスはシードラを。
冗談のようで、飲み水の衛生度が低かった昔は、水代わりに飲まれていたんでしょうね。
お店は閉まっていたけど衝撃的なショーウィンドウに道中全員の目が釘付けになりました。近づいてみると・・
全部チョリソー!!なんて幸せなお店
顔出し看板見ると、顔を差し込まずにはいられません。これで私も立派なエスカンシアドーラ、サングラスの奥の小さい目は、もちろんピコス・デ・エウロパ山脈を見つめています
アストゥリアス関係ないけど可愛かった清掃車を横目に。(←とアップしたところで、投稿を見たマコトさんから一言メッセージ来ました。「Oviedoがuna ciudad mas limpia en Europa(ヨーロッパで最も清潔な街のひとつ)に選ばれたのはご存知で? あの清掃車もある意味アストゥリアス、オビエドらしいものです」とのこと!ほう!)
オビエドの急ぎ足の旅はこれにて終了。もっともっと、楽しいところがあるはず。ゆっくりしたい小さな街オビエド、大好きになりました。
そしてレオンからお世話になりっぱなしのマコトさんともここでお別れ。またの再会を約束して。彼がいなければ、オビエドの旅はかなり時間を無駄にした勿体無いものになっていたはず。マコトさーん本当にありがとう!一緒にワインが飲みたいぜ!
後ろ髪引かれながらバスに乗り込み、次は最後の目的地、ジャネス。レオンからオビエドに向かう険しい山々は視界からなくなり、海に近づくにつれ緑の大地が開けてきました。
次にオビエド行くときは、このりんごジュースが飲めますように!!!
コメントを残す