こんにちは!北スペイン料理研究家の @erikogreenspain 、Erikoです。
ビスカイア県ムンギア、ただいまスペインのグルメ界が注目するバスクのNEWミシュラン一つ星「BAKEA(バケア)」へ行ってきました!
元鍛治職人のアラッツ・ビルバオが、食材、ワイン共にバスクのものをメインに使い、地元の森やワイナリーの薪を使った調理で構成されたコースを提供しています。
バケア(ムンギア)
バスク州ビスカイア県(ビルバオがある県)の内陸にある人口1万7千人の街、ムンギアに2023年にオープンしたレストランです。
住所:Olalde Berezia 1, bajo, Munguía 48100
バケアのコンセプト
合金
融合によって得られる均質な概念、3つの要素から構成されており、
そのうちの一つは金属である
鉄 / 薪 / 記憶
これが、公式ホームページ冒頭に書いてあるコンセプトです。
コンセプトの根幹となっているのは、彼自身が幼い頃から触れてきた「鉄」そしてその鉄を熱する「薪」そして、父や祖父、家族たちと過ごした山の家での温かい「記憶」です。
これらが融合する様子を、元鍛治職人として「合金」という言葉でまとめているのも素敵。
コンセプトについてのお話は下記にまとめています。
バケアのコース
2026年6月、バケアに初めてお伺いしてきました。ビルバオからタクシーで20分程度で行けます。
お店の場所が分かりづらい(集合住宅の一階)なのでタクシーの運転手さんも迷ってました。

店内は一枚の木材の長テーブル。このテーブルをゲストたちがシェアして座ります。テーブルをシェアするのもバスクの文化の象徴です。


Bakeaはバスク語で平和、平穏を意味します。
今回は、180ユーロのコースをお願いしました。

天秤のような、両方にスプーンがついた器具には、写真では見えないのですが丸く仕上げたトルティージャが両方に乗っています。サン・セバスティアンのトルティージャの名店「アントニオ」の親戚(かスタッフ、記憶曖昧ですみません)の方がバケアに研修に来ていて、そのオマージュだそう。
このスプーンは、二人で同時に持って一緒に食べるのが決まりです。ここにもシェアするバスクのスピリッツが。

透明なコンソメの底に浮かぶのはアルファベットの刻印。スペインは昔から今も、小さなアルファベット型のパスタを入れたソパ・デ・レトラという子供向けのスープがあります。ついすくいたくなる可愛い演出。

テーブルで蜂蜜をかけて仕上げてくれるこの一品が、バケアのシグニチャーでもある「イワシ」です。

ムンギアから北に10kmの港町バキオでとれた最高のイワシを塩で漬けた自家製アンチョビに、近くの森で採れたビーポーレン(蜂が集めた花粉)をまぶし、その蜂蜜を添えた一品。
これがバケアの始まりの一品で、指で尾をつまんで生の魚を食べる、原始的な人間らしさ、のコンセプトがあるそうです。
イワシのサイズがそこそこ大きいのと、味がしっかりしているので、一気に食べるというよりとっておいてワインと一緒にちびちび食べたい気もしました。

ワインは全てバスク産から選べます。



コースの途中、店内が暗くなり、古いラジオのような音源が流れました。

運ばれたのは黒く焼けた一本のピーマン。
1937年、ドイツ軍から無差別爆撃を受け多くの市民、動物が犠牲になったバスク北部のゲルニカ。ここの名産の細いピーマンを薪で黒く仕上げたメッセージ性のある一品です。

甘くないクアハーダもあり。。。



最後に現れた美しい赤身の炭火焼き、バスクのチュレタです。



上質な牛肉の食感を楽しむため薄くカットしたチュレタは、火が入りすぎないように片面のみ焼くそうです。日本で知った麹の文化に魅了されたというアラッツ、今回、お肉にも塩麹をまぶして熟成したそうです。

つけ合わせには自家製のザワークラウトに、バスク産のエスペレットをまぶしたもの。
デザートは3種類。




スペインでは昔、挽いたコーヒー豆を鍋で煮出したものを飲んでいた文化がありました。バケアでは手作りの鉄鍋、鉄のコップで、鍋で煮出したコーヒーを冷やしたものを出してくれました。
食後には、薪を使ったキッチンも見せていただきました。

朝の仕込みは、まずは薪を燃やすところから。
左下で薪を燃やし、その熱で上の鉄板が熱され、そこで鉄板焼きにしたり、鍋を置いて煮物をしたり、鉄板に開いた穴から生火でも炒め物ができます。
さらにその熱が管を通って右へ伝わるようになっていて、下は3部屋に分かれたオーブン(火元に近い方から強火、中火、弱火になり、スモークなどもこのオーブンで行う)、そしてその上には薪が燃えた炭を移して網焼きができるようになっています。
さらにその網焼きの上では、上に上がる熱を利用して魚を干したりもするそうです。
一つの火元で、鉄板焼き、煮物、炒め物、網焼き、スモーク、乾燥までできてしまうことになります。
このキッチンの熱を通すエネルギーは薪のみ、ガスも電気も使っていません。
またその薪も、近隣の森で取れるオークやブナ、そして私も以前勤めていたインポーターで取り扱っていた素晴らしいチャコリワイナリー「ドニエネ・ゴロンドーナ」で出る選定したぶどうの枝を使っているという徹底的な「地元」のこだわりです。
一つ一つのバスクの食材の美味しさ、一皿一皿に添えられた手作りの鉄のフォークの重さ、温かみ。
厳選されたワインと共に、五感でバスクのスピリッツを楽しむことができた素晴らしい時間になりました。
季節を変えてまたぜひお邪魔したいです。
アラッツさん、スタッフのみなさん、ごちそうさまでした。美味しかったです。














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