スペインワインについて思うこと 高橋良徳

多くのスペインバルの立ち上げに携わり、麻布十番スリオラの立ち上げ、初代支配人兼ソムリエとして勤めた高橋良徳氏による寄稿です。

ワインを知っている人が、スペインワインに対して抱く印象。

それはフルボディーな赤ワイン。

それは、ワインに限らずスペインに対するイメージと同じ、”情熱の太陽が燦々と降り注ぐ国”といういわば、南国のイメージである。

もちろん、実際はスペイン、特に北部は冷涼なところも多く、山岳部も多いので、日本よりも平均気温が低い地域もたくさんあり、著名なワイン産地は、イメージほど暑くない。

しかしながら、イベリア半島の圧倒的な日照量、地中海、大陸性気候による季節や昼夜の温度差による、果実味豊かで、フルボディーなワインが出来やすいのは確かでありイメージ通りの”南のワイン”が多い。

初めて、飲んだスペインワイン。それは、ソムリエ試験用にテイスティングした、リオハのマルケス デ リスカル レセルバ。これまで飲んできたフランスやイタリアの赤ワインとは違う、ダークなベリーやローストしたコーヒー、シガーのような香り、甘い果実味、穏やかな酸味、そしてなんだか懐かしさをも感じる人なつっこい温かみを感じた。

そこには、太陽と大地の土の香りがあった。

最近のワインの傾向として、赤も白もクリーンで優しい果実味ときれいな酸味、控えめなアルコールといわゆるエレガントなワインスタイルに移行している。スペインも一時期台頭した、モダンスパニッシュ、いわゆるマストを濃縮させ、パーカーお気に入りの超フルボディーのワイン作りが落ち着き、今、新潮流といわれエレガントなスタイルのワインが出始めてきている。

テンプラニーリョやガルナッチャ、アルバリーニョやビウラを使い、素晴らしくエレガントでシャープな、まるでブルゴーニュのような飲み口のワインを作る優れた醸造家もでてきた。

そういうワインは飲み飽きずに特に繊細な料理とのマリアージュは素晴らしい威力を発揮する。

でも、スペインらしい味わい?やや物足りなさをつい感じてしまうのである。行き過ぎたモダンなスタイルは別として僕が考えるスペインワイン、それは、”太陽と土の香り”ではないかと。

凝縮された果実味とグラマラスなアルコール、そして、大地の土のようなローストした香り、不器用だが主張してる感じ。

果実味が豊かでアルコールが高い味わいは太陽の恵みがつくる最高の芸術品であり、スペインのような暖かい地域のみにゆるされた特権である。飲みごたえもあり、時間をかけてじっくり味わえるスペインワインが僕は好きだ。そして何よりもスペイン人のあたたかさを感じてしまう。

新潮流のエレガントなスペインワインもすばらしい味わいだが、スペインでなければできない味わいとなると、少し疑問かなと考える。

最後に僕の尊敬する、渋谷 康弘氏の著書”太陽の香り”から、

 

 

美しく照る”太陽”は、葡萄畑に陽射しの恵みを与え、

香り”を生み出します。

ワインがつくられて何十年もの時が経っても、

香りはけっして消えることがありません。

香りは太陽によってつくられ、

ワインのもう一つの味わいとなるのです。

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