アルドアック酒井×エルブエイ野堀 第10回スペインワイン会

代々木八幡にあるカウンター8席のスパニッシュレストランArdoak(アルドアック)を会場に、同店酒井シェフと、神楽坂の人気マリスケリア(魚介専門店)・エルプルポの立ち上げからシェフを務め、現在は姉妹店でアサドール(肉の炭焼き)をメインにしたエルブエイを盛り上げる野堀シェフの二人のドリームコラボによるお料理とそのお料理に合わせたスペインワインがテーマとなった第10回スペインワイン会 by GreenSpain+Plus

両シェフが交互に出した6皿のお料理と、5種のワインのマリアージュをご報告します。

 

老舗ワイナリーが作る上質なカバと、野堀シェフのスペシャリテ

スタートはペネデスで最も古い歴史を持つワイナリーのひとつメストレス家のカバ、Mestres M Brut Nature GR メストレス エメ ブリュットナトゥーレ グランレセルバと、野堀シェフのスペシャリテ「Flan de erizo de mar 殻付き雲丹のプリン」を。

カバの名付け親メストレス家のエメ ブリュットナトゥーレは、瓶内二次発酵時に王冠ではなく100%ナチュラルコルクを使用し、動瓶作業、澱を取り除く作業も職人の手によって慎重に行われるなど、最高のクオリティを追求した上質なカバです。泡立ちの細かさ、華やかな香り、しっとりとした味わいを舌に残す重みあるボディが特徴。3年間の熟成を経た味わいは重厚で深みがあります。

スペインワイン会当日朝に築地で仕入れてきた新鮮で海の香り濃厚な味わいの雲丹を使用したとろりと滑らかなプリンは、野堀シェフが神楽坂エル・プルポで完成させたスペシャリテ。カバの軽快で細やかな泡とそのコクのある味わいと最高の相性でした。

まだ知られぬスペイン内陸の土着白品種ワインと、酒井シェフのスペシャリテ

2品目はガリシア地方の内陸、ポルトガルとの国境近くに位置するD.O.モンテレイのTerra do Gargalo sobre lias テッラ・ド・ガルガロ ソブレリアスと、酒井シェフのスペシャリテ「Pimiento del piquillo relleno ピキージョピーマンの詰め物」

モンテレイはガリシア州にある5つのD.O.のうちのひとつで、シル川沿岸の小さな生産地。マイナーな生産地ながら、土着のゴデージョ種をメインとした高品質な白ワインが現在じわじわと人気上昇中。今回チョイスしたテッラ・ド・ガルガロ ソブレリアスはゴデージョ種と同じく土着のトレイシャドゥーラ種を使用し、シュールリー(澱と触れ合わせることで味わいに深みをもたせる)を行ったもの。ゴデージョ種の特徴である華やかかつ爽やかな青りんごのような香りにトレイシャドゥーラ種の上品な白い花の香り、ハーブの香りなどがバランスよく混じりあった香り高い白ワイン。丸みのある口当たりにすっと締まった酸がバランスよくフレッシュな味わい。

甘みの強いピキージョピーマンの中身にまったりとなめらかな鱈・海老のすり身のやさしい味わいとフレッシュな内陸の白ワイン。グラスをすいすい傾けてしまう心地のよいコンビネーションでした。

ジューシーなロゼと、優しい魚料理

3品目はモスカテル・グラノ・メヌード(小粒モスカテル)とシラーで作られるロゼと、野堀シェフが”ロゼに合わせるため”に用意した「Suquet de peix 真鯛のスケ。」

上品なサーモンピンクが見ているだけで美しい、リバリス・ロゼ。通常のモスカテルより小粒、房もぎゅっと締まっていて皮が厚く、その弾けるような華やかでフルーティな香りが特徴のモスカテル・グラノ・メヌードと、しっかりとしたボディを作るシラー。濃縮したような甘い香りは香水にしたいほどアロマティックで、ほのかにスパイシーな蜂蜜を思わせるリッチな味わいが口の中で瑞々しく広がります。

真鯛のスケはカタルーニャ地方の魚の煮込み。すりつぶしたアーモンドの香ばしいコクが、ふっくら火の通った淡白な真鯛の身にまったり絡みます。飾り気のない煮込み料理の優しい味わいと果実味あふれるロゼの組み合わせの妙、豊かな味わいでした。

リオハのクラシックな赤ワインと、両シェフの創作Pintxos

4品目、5品目はクラシックリオハをモダンにパッケージしたLopez de Haro Crianza ロペス・デ・アロ クリアンサと、”赤ワインに合わせるピンチョス”をテーマに創作していただいた野堀シェフの「Foie a la plancha con fresa フォアグラと苺」に、酒井シェフの「Shitake relleno con alioli al vino 椎茸の肉詰め 赤ワイン風味のアリオリ」

スペイン9つのD.O.で優れたワインを生産するビンタエグループがリオハで造るロペス・デ・アロシリーズ。クラシックリオハの特徴である樽熟成にフォーカスしながらも現代らしい軽やかさも意識した「現代クラシック」。クリアンサは樽と瓶内で合計2年の熟成を経て、果実味、タンニン、アルコール感、樽由来の風味のバランスがどこも崩れていない丸い味わい。デイリーに飲める価格ながらパーカーポイント91点と国内外で高い評価を受けています。

野堀シェフのフォアグラのプランチャ(鉄板焼き)はフレッシュな苺のスライスとりんごのピューレとともに。カベルネソービニオンの赤ワインビネガーを煮詰めた甘いレドゥクシオンが全体を引き締めて美味。美しい盛り付けに歓声が、その味わいにため息が。

酒井シェフの椎茸の肉詰めは、肉厚で味わいの濃い椎茸にひき肉を詰めてオーブン焼きにし、イベリコ豚の脂身塩漬けをスライスしたもの(パンセタ)を上に。添えてあるソースは赤ワイン風味のアリオリ。パンセタのイベリコ豚らしいコクが全体をまったりと包んで赤ワインと溶け合うその味わいにもため息が続出しました。

プリオラトの偉大なる赤ワインと、野生的な肉料理

6品目はプリオラトの代表格ワイン、CLOS MOGADOR クロスモガドール 2009のマグナムと酒井シェフの肉料理「Hamburguesa de buey y albondiga de pato con salsa de queso azul 牛ハンバーグと鴨のミートボール、ブルーチーズソース」

D.O.Q.プリオラトの立役者ルネ・バルビエが「自然と共生」をモットーにテロワールと心を表現したクロスモガドール。マグナムボトルはエチケットにバルビエファミリーの顔写真がユニーク。しっかりした酸とタンニンに支えられた豊かな凝縮感がとにかく上品。赤果実のコンポートにカプチーノ、スパイス系のニュアンス。余韻は非常に長く、上品な酸が伴います。

酒井シェフが用意したメインは、サイの目にした牛タンがごろごろと入った粗挽きの牛肉を腸詰にした牛肉のハンバーグに鴨肉ミンチを丸めたミートボール。さっぱり仕上げられたブルーチーズのソースに、ニョッキに見立てたバナナ(!)がごろり。甘みともちっとした食感がお肉と交互に癖になる味わい。アボガドのクリームでリセットしながら何度も繰り返し巡り続けたいループ。クラシックなものを現代的に表現する酒井シェフの才能に改めて一同感激の締めくくりでした。

食後酒にはクロスモガドールが作る「キンタ・エッセンシア」、”神髄”という名の蒸留酒で。

スペインワイン会でいつもフォローいただいているスペインワイン専門のオーケストラさんから協賛で頂きました。ありがとうございます。

皮や種子などの絞りかすを蒸留して作るオルッホと異なり、熟成の際に出る澱を集めて蒸留したキンタ・エッセンシアは、香りが上品・濃厚で飲み口が雑味なくすっきり。

クロスモガドールや同ワイナリーの赤ワイン・マニェッテス、白ワイン・ネリンなどの澱を引く際に、その芳醇な素晴らしい香りに気づいたルネ・バルビエが、 それを素にした蒸留酒を作ってみたら、非常にエレガントな香りと味わいを表現できたという、上質の蒸留酒。

この日の素晴らしい全てのお料理とワインの〆として、これ以上のものはなかったでしょう。

才能あふれる今まさに旬のスパニッシュ若手の二人が繰り広げた美しく華やかで、だけどしっかりと芯のある料理たち。

この楽しさと美味しさはまたリピートするべきです。また今年中に企画します。

ゲストのみなさん、そして酒井シェフ、野堀シェフ、素敵な時間をありがとうございました!

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