TOURISM

ケイマーダ ガリシアの神秘のお酒

濃い霧に包まれ、獣が吼えるような風が吹く。
舞台はガリシア。
神秘の力を信じる土地、ケルトの文化が息づく土地。
奇妙に凪いだリアスの岩場で、強い山風になぶられながら、
牡鹿の角を頭につけた男が火の付いた液体をかき回す、
静かに、けれど歌うような抑揚をつけた言葉をささやきながら。
透明な液体からはえもいわれぬ芳香が漂う、
その芳香をまとう青い炎が、燃え立ち、ゆらめく、はぜる、黄色く光る。

DSC03804素焼きの小さな器に分けられた熱い液体を口に含む、

咽喉を伝い胃に落ちる、

冷えた手足へ熱が届く。体の中に、染み通る。

霧は晴れ、山風はやみ、穏やかな海に月光が光る。

Queimada(ケイマーダ)はガリシアの名物、Orujo(オルッホ、葡萄の搾りかすの蒸留酒、イタリア語ならグラッパ)を素焼きの大きな器に砂糖と一緒に入れて火をつけ、Conxuro(コンシューロ、まじないの言葉)を唱えながらかき混ぜ、火が消えたら飲むという、なんとも不思議な”儀式”の飲み物。

魔女や魔物、超自然的な事象が多く信じられてきた、スペインで一番神秘的な土地、ガリシアならではの文化のひとつです。

この儀式は魔女や魔物を追い出す浄化の儀式であるとともに人々に強さや新しい活力を与える儀式とされていて、Conxuroは時に妖しく、時に力強く発声され、人はそのまじないの神秘的な響きと、煽られる青い炎の動きに魅了されます。

Orujoは40度前後あるスピリッツですが、火をつけてアルコール分がいくらか飛ぶのと、お砂糖がかなり入るので甘みが付き、Conxuroが終わり器に取り分けられる時点では飲み易くなっています。それでも、飲み下した時のアルコールの熱さは感じられる程度なので、杯を重ねる際は注意が必要です。

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サンティアゴ・デ・コンポステラを訪れた際友人が自宅でQueimadaを用意してくれました。
旧市街の食器屋さんで、直径30cmほどのQueimada用の器を購入。(上写真)

続いて向かったのは小さな食品店、天井からは腸詰がぶら下がり、奥の冷蔵庫には円錐形のチーズ、テティージャがどっさり、新聞や雑誌が詰まれた小さなカウンターで、「Queimada用のOrujo」で店主が奥から取り出したのはラベルも何も貼っていない、キャップシールも付いていない、ただの透明の壜に入ったOrujo。

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お土産用のOrujoはハーブやカフェ、フルーツなどのフレーバータイプや、クリームタイプもあり、一本3ユーロから高いもので20ユーロ程度。スペインでは食後酒としてショットグラスで、またはロックで飲まれます。
ラベル・キャップシールなしのOrujoはなんとまさかの1本1ユーロ、地元民ならではのお買い物!
他に材料はレモンの皮とコーヒー豆を数粒。
豆は買い物後に寄ったバルで店員に頼み数粒もらいました。

<作り方>

Orujoに火がつきやすいようにあらかじめ鍋で熱くしておいて
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Queimada用の器に砂糖とレモンの皮、コーヒー豆、そこに熱くしたOrujoを注ぎます。
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点火!青い火が強く立ち昇り、Orujoの凝縮された干し葡萄の香り、砂糖の甘く焦げる香りが広がります。
Queimadaの器を購入したら付いてきたConxuroのまじない文とレシピ。
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サンティアゴ・デ・コンポステラ生まれの友人が、ガリシア語のConxuroを読み上げながら
青い炎を煽ります。
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砂糖がぱちぱちはねるので周りには広く新聞紙を敷いてありましたが、後で明るくして見たら飴状の砂糖がかなり飛んでました、火をつけて混ぜている間は近づかないように・・
この後火の消えたOrujoを小さなカップで3杯ほど頂きました。普通のOrujoならかなり酔う量だけど、すいすい飲めたのは熱くて甘くておいしかったから。アルコールも全部とは言わないけれどかなり飛んでいたように思います。
神秘的なガリシアの文化を体験させてくれた友人に感謝。

さて、このQueimadaを一般向けに提供しているのが旧市街にあるLar das Meigas(HP)住所:Rúa do Vilar, 47、
ガリシアの手作りの名産を販売するお店で、ハイシーズン(3月20日~10月)は毎週金・土に、オフシーズン(11月~3月20日)は連休のみQueimadaを実演・提供しています。(大人10ユーロ)

他にも市街にQueimadaを提供するバルは数店あるので、観光インフォメーションで情報をもらうことができます。
ガリシアの不思議で妖しく魅力的な文化のひとつ、Queimada。
機会があったらぜひ試してみてくださいな。

 

ガリシアのおいしいオルホといえば↓サラテ。アルバリーニョ種の果皮100%のオルホです。

(ケイマーダにするにはちょっともったいないかも)

Corazon(コラソン、スペイン語でハートの意、蒸留課程の純度が低い最初と最後は除き、純度の高い真ん中部分のみボトリングの高級オルホ、そのままで染みるおいしさ。

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