レストラン

アルドアックでコチニージョ

アルドアック

アルドアックでコチニージョ(こぶたの丸焼き)

先日8日、代々木八幡のスペイン料理店Ardoak アルドアックにて友人のバースデーパーティを開きました。集まったメンバーは神楽坂Asador El Buey アサドール・エル・ブエイのシェフ、牛込神楽坂BarMaquó バルマコのオーナーシェフ、某バル勤務のサービススタッフという濃いスペイン業界メンバー、それから主役の15年来の友人たち(わたしも含む)

カバ リョパール

乾杯は、Llopart(リョパール)の1994ビンテージ。

CAVES LLOPART カバス・リョパール

1385年、リョパールの前身だったぶどう栽培農家Bernardus LEOPARDI名義で、ラテン語で記されたぶどう畑の譲渡書が残っているという、歴史あるファミリーワイナリー。

1887年にカバの生産をスタートし、伝統の”シャンパーニュ製法”にこだわるクラシカルなカバ作りをモットーとしているそう。

94年ビンテージ、グラスに注がれたのは金色の液体。泡は弱くなっているが、フィノのような香ばしいコク、フレッシュな酸の味わいが生き生きとしていてつい目を閉じるカバ。

アルドアックオーナー酒井氏の、「少しだけ残して、またあとで飲んでみてください」に従ってフルートグラスに3cmほど残して置いておきました。

30分ほど経って、香りの変化にうっとり。ドライで酸を感じる香りだったのが、開いて甘く、香ばしく、舌触りもよりシルキーに。さすが「アルドアック(バスク語でワインの意)」オーナー、素敵なワインでパーティスタートです。

アルドアック

一皿目:ヤギチーズとソブラサーダ、蜂蜜とペドロヒメネスのソース、散らしたチョリソーとサルチチョン

かりっと焼かれたスライスバゲットに、薄く切ったヤギのチーズ、そして薄く切ったソブラサーダ(マジョルカ島で有名な塗るタイプの腸詰。チョリソーより丸みのある風味で柔らかく、ペースト状で腸に詰められている)のピンチョス。ソブラサーダの上には小さくカットされたトマトが少し。ビネガーでマリネしてあるため、少量ながらきっちり味をしめてくれます。

茶色いソースは蜂蜜とペドロヒメネスを煮詰めたソース。地元マジョルカではパンに塗って砂糖をかけて食べるのもポピュラーというソブラサーダに、甘いソースが合います。

散らしてあるのはカットされたチョリソーとサルチチョン(胡椒がきいたサラミタイプの腸詰)も、ソースを絡めてつまむとまたコクが加わって絶品。サルチチョンにペドロヒメネス、良かったです。

アルドアック

二皿目:Ajo Blanco アホ・ブランコ

アーモンドをベースにしてにんにくをきかせたアンダルシアの冷製スープ。

皮をむいたぶどうの実を入れるのがポピュラーですが、アルドアックのアホ・ブランコには季節の生イチヂクと桃が。

細くカットした生ハムとトマト、ハーブ、香りの高いオリーブオイルのアクセントで、すくう部分ごとに違った味を味わえるのがとっても素敵。

ベースが淡白な味なだけに単調になりがちなスープが、アルドアック酒井氏にかかるとこんなにスタイリッシュに、変化を楽しめるものに変わるんですね。

これこそ、酒井氏のスタイル。クラシカルなものを新しく、スタイリッシュに提供する、それでいて創作的な安っぽさがないのは、崩すところと崩さないところの線引きのセンスに恵まれているんでしょうね。

アルドアック

アホ・ブランコに合わせて味わうのはD.O.Calatayud(カラタユ)のBodegas San Alejandro(ボデガス・サン・アレハンドロ)のBaltasar(バルタサール)

マカベオ100%

輝きのあるストローイエロー、柑橘系フルーツ、リンゴなどの爽快なフルーティさに、ハーブやナッツなどのパワフルで生き生きとした香り。味わいはグレープフルーツのような苦味のある果実味。ボディがしっかり。

まったりとしたアホ・ブランコにまけないパワフルな白。

アルドアック

なめらかに波打つプレートに盛られた三皿目:ピミエント・デル・ピキージョの詰め物と秋刀魚のエスカベッチェ

アルドアック酒井氏のスペシャリテ、ナバーラ原産の赤ピーマン、Pimiento del piquillo ピミエント・デル・ピキージョに魚のすり身を詰めた詰め物、ソースもピミエント・デル・ピキージョ。

リング状にあしらわれた黄色いソースはかぼちゃ。夏には枝豆のやわらかいグリーンのソースがかかっていたそう。

甘みの強いピミエント・デル・ピキージョのなかに、むっちりとした食感のすり身、同素材の甘酸っぱいソースが一体になって、口の中が幸せ。

秋刀魚のエスカベッチェは季節の新メニュー、半身のフィレにビネガーなどでマリネしたたまねぎ、赤パプリカ、焼きなすが包まれています。

肉厚で脂ののった秋刀魚の季節ならでは。

アルドアック

合わせたワインはD.O.Calalunya(カタルーニャ)、CA N’ESTRUC(カネストラック)のIdoia(イドイア)

チャレロ100%

ゴールドイエロー、ニュートラルな穀物系アロマに柑橘系フルーツのさわやかな口当たり。

後味に蜜のような甘みが残るしっとりとした味わいは日本酒のよう?秋刀魚との相性ぴったりでした。

アルドアック

メインは子豚の丸焼き!Cochinillo asado(コチニージョ・アサード)!

オーブンで3時間かけて焼き上げた子豚は皮がぱりっぱりで中がふんわりジューシーに。

6kgの子豚、半身で3kg

子豚の丸焼きが名物のセゴビアでも、なかなか「丸焼き」はお目にかかることができません。(大抵はカットされたものが皿に盛られて出てくるので)

ナバーラ産の子豚をまさか代々木八幡のレストランで食べられるとは!

アルドアック

焼いたときに出た脂をソース代わりに、付け合せには栗と大ぶりのマッシュルームで、シンプルに頂きました。私が頂いたパーツはおそらく背中からお腹にかけての部分。なんといってもコチニージョ・アサードは、ぱりぱりの皮とその下の柔らかい肉の対比がたまりません。ちなみに顔部分は某バル勤務のサービスの男の子へ。脳みそ、小さなタンに、顔周りの薄く柔らかいお肉は玄人向け。小さな歯が生えた口を見るとひるみますが、せっかく頂く命、きれいに完食していました。

アルドアック

合わせて頂いたのはリオハの2000年ビンテージ、Muga(ムガ)。

クラシカルでシンプルな子豚の丸焼きには、やはりクラシカルでシンプルなMuga、最高の相性です。色は透明感あるガーネット、上品な樽香とボリューミーな果実味のアロマそのままの味わい。

エレガントでシンプル、まさにクラシックリオハの代表的ワイン。

(ちなみに、最初はブラインドで、「産地とビンテージを当てて」という酒井氏の即興ティスティング大会にて、私は自信満々で「リベラデルドゥエロ!」と言い切りました・・そのくらいパワフルでジューシーさ感じたのですが、まんまとリオハのどクラシカル!くやしいですっ!)

アルドアック

だいぶ大判な子豚ちゃんポーションを食べた後、しっかり米もお願いして出されたのは、酒井氏得意の、土鍋(カスエラ)で炊き上げるArroz al horno(アロス・アル・オルノ、お米のオーブン焼き)

大きくカットされたトマトと、お米入りモルシージャ(血液の腸詰)を具に、トリプルスープ(豚・羊・鳥)でふっくら炊き上げたお米は、しっかりお肉を食べた後でもぱくっと入る、やさしい風味。

ひよこ豆が食感のアクセントに、焼かれて甘酸っぱいフレッシュトマトがさわやかに、そしてお米全体へしみこんだモルシージャの風味が!

ブルゴス滞在者としてはメランコリックにたまらない一品。

ちなみにこのモルシージャは日本で作られた製品だそう。

クオリティ高いです。ぐりすぺ勉強不足です!

アルドアック

さて、この日バースデーケーキとして登場したのはなんと、Tarta de Santiago(タルタ・デ・サンティアゴ)!!

神楽坂のAsador El Bueyシェフの野堀氏が、この日のためにマルコナアーモンド100%で作ってくれた特別ケーキです。

アルドアック

このケーキの特徴である十字の型も、野堀氏がサンティアゴ・デ・コンポステラの調理器具店で買ったというほんもの。

アーモンドと砂糖、卵だけの素朴なケーキ。

卵をしっかり立てて本場よりふわっとした軽い食感も、砂糖を本来のレシピから半量にして甘みを控えた味わいも、皮をむいたもの、皮をそのまま残したものとを、それぞれ大きさを微妙に変えてすりつぶすことによって最大限生かされたマルコナアーモンドの風味も、これは野堀シェフの繊細さをそのまま映し出していると思いました。

シンプルなものは、作った人の性格がでますね!

少し残ったMugaも、このケーキとならまだまだ飲めます。上質な赤ワインと最高のマリアージュのケーキ、ほかにはありません!

〆はそれぞれに、酒井氏から食後酒がサーブされました。

甘いお酒が好きな女子にはLicor de vino(リコール・デ・ビーノ、ワインリキュール)、お酒の強い女子には樽熟成をかけたOrujo(オルホ、ぶどうの搾りかすでつくる蒸留酒)、男性チームはカルバドスやシェリーブランデーなど、そしてわたしには、またもや謎の液体が。「当てて~」の酒井氏、考え込むわたし。

思い悩んで匂いを吸い込みすぎでアルコールにむせたりしながら、考えあぐねて出した答えは、「アイラのシングルモルトウィスキーだ!」

アルドアック

苦笑する酒井氏の答えは、「ラム、フレンチ・ラムだよ!」でした・・・

ラム・・・奥深いです・・

このラム、トロワ・リビエール。カリブの仏領マルティニーク島で作られるフレンチ・クレオール・ラムと言うらしいです。知りませんでした。

通常のラムの製造は、絞ったさとうきびのジュースを煮出して砂糖の結晶を取り除き、残った糖蜜を発酵・蒸留して作るのに対し、フレンチ・クレオール・ラムはさとうきびジュースを100%そのまま発酵・蒸留するそうで、それによって前述の糖蜜からのラムよりもより風味が贅沢なラムに仕上がるそう。

また、フレンチ・クレオール・ラムは柔らかいピート香も特徴のひとつで、アイラのシングルモルトと比較されることも多いそう。・・・ってことは、あながちわたしのティスティングも間違っていなかったんでは・・・と、酒井氏に言ってみたところ、ふっ・・と冷たくあしらわれました。

酒井氏、野堀氏。同じ年齢のスペイン料理大好き仲間です。

一緒にお互いを高めあえる友人がいるということはとっても尊い。今回のブラインドティスティングで信用失墜した私ですが、わたしも彼らに「おー!ぐりすぺ!」と尊敬されることが、これからの長い付き合いの中でひとかけらくらいあるように、今後精進していきます笑

ごちそうさまでした。素敵な夜をありがとう。

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